表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Festival in Crime -犯罪の祭典-  作者: 柿の種
Season 2 第5章 月を壊したかぐや姫
162/194

Episode 8

昨日やっちまったので、本日2本更新です。

これは1本目です。


「……話だと?」


こちらを訝し気に睨むソーマに対し。

私は近くのマギに視線を向ける。

すると、少し息を吐きながら彼が話し始めた。


「そこまで大した話じゃあないですよ。単純に同盟は組まないけれど協力はしないか?という提案です」

「協力、か。何のだ?」

「そちらが攻めているであろうディエスの重要拠点を潰すための情報提供ですかね……こちらとしてもあそこは何をしてくるのか分からないので、出来る限り早めに潰せるなら潰したいんですよ」


マギの言葉に私は首を縦に振りながら同意する。

現状4つある区画の内、何をしてくるのかが予測できないのが現実区画ともいわれるディエスなのだ。

だからこそ、不確定要素になり得る区画の力を先に削いでおきたいというのは通りだろう。

しかしながらこの提案はもう一つ意味がある。

それは、


「成程。それであわよくばウチのネースも消耗すればいいなってわけか?」

「はは、何のことやら。出来る限り僕達も協力しますよ?」


マギは笑っているものの。

実際の所、ネースとディエスが潰し合ってくれればいいなと思っているのは本当だ。

そうして消耗したところをデンスが叩けばそれなりに楽が出来るのだから。

しかしこんな見え見えの策に乗るほどソーマも甘くはない。


「そこで『僕達』というのがまず信用できないな。せめて『デンス』と言え。……だがまぁ。確かにディエスを潰すために協力するというのはアリな提案でもある」

「そうでしょう?特に僕の先輩とか特攻させれば変にしぶといんで相手を疲弊させる事も出来ます」

「それくらいは知っている。あのカニバリストの所為でネース所属のプレイヤーが何人PKされたと思ってる」


その言葉にマギは苦笑いを返すものの。

事実、CNVLはコストがある状態ではかなりしぶとい。

推定回復性能特化スキル持ちである神酒と比べられるくらいには。

それに今回はプレイヤー同士とのPK合戦。彼女からすればビュッフェ形式の立食パーティのようなものだろう。


「はぁ……まぁ、いいだろう。使いようによってはお前達だけでも中々便利に使えるだろうしな。……いや、先に確認しておこう。お前達は俺の指示に従うのか?」

「んー、まぁ流石にデンスの重要拠点を破壊しろみたいに、デンスが不利になるような行動以外ですが。……いいですよね?ハロウさん」

「いいんじゃない?私達遊撃部隊みたいなものだし。リーダーって言われてるけど自称してるわけじゃないから大丈夫でしょ」

「と、うちのパーティリーダーも言ってるので、今言った条件なら大丈夫です」

「成程な……良いだろう。少しだけ待て。こっちもメインで動いてるプレイヤーに確認するからな。流石に1人で決めるべき事柄じゃない」


そう言うと、彼は何処かへと通話を繋いだようで。

私達の方から顔を背け、虚空に向かって話始めた。

……今襲えば簡単にデス取れるわよねぇ。しないけれど。

流石に今話していた内容全てを無駄にするような行動はしない。

そんな事を考えていたのがバレたのか、隣に立っているマギから横目で睨まれているが。


『で、本当はどうなの?(';')私達全面協力でディエスに侵攻?』

『まぁそうなるかしらねぇ。デンスのプレイヤー達はお隣さんを潰すのに夢中になってるから、私達だけでも少しはディエスを消耗させた方がいいでしょう?』

『それに僕達はあくまで1パーティでしかないですからね。ソーマさんからの指示に従うにしても、そこまで重要な事はさせられないと思いますよ。……まぁ十中八九、最前線の激戦区で暴れてこい、とか言われるでしょうけど』

『げぇ……(;^ω^)』


メアリーからの問いに対し、声には出さずチャットで答える。

私が私達を運用するとしても……やはりマギが言ったような運用にはなるだろう。

最前線で暴れさせていれば、万が一裏切ったとしても自軍と敵軍とで挟み撃ちに出来るし……そもそも用済みになったら背中から切りかかれば簡単に処理できる。

文句を言われたとしても『元々は敵同士なのだから別にいいだろう』と言えてしまうのが現在開催されている区画順位戦イベントだ。

……まぁ、正直うちの中で最初に狙われるのは私かCNVLのどちらかでしょうね。


マギやメアリーは逆に後回しになる可能性が高い。

何故かと言えば、答えは単純。2人は主に戦闘を得意としていないはずの生産職だからだ。

一応昨日のボス戦を見ていたプレイヤー達はメアリーの瞬間火力の高さは知っているだろうが、その火力を引き出すには時間がかかるというのも知られているため脅威度自体は低いだろう。


問題はボス戦中にほぼ支援しかしていないマギだろうか。

人によっては彼の事を支援職としか思わないだろうが……その実、彼の今の【犯罪者】である【魔女】は生産職でも攻撃職でもあるオールラウンダーだ。

スキルの使い方次第では恐らく私達のパーティの中でも一番広範囲に攻撃をばら撒く事も出来るだろう。

それに加え、彼自身がゲーム内で調薬した薬を合わせれば……耐性に弾かれる所も多いだろうが、相手側が悲惨な事になることは想像に難くない。

まぁ実際に裏切られるかは分からないため、あくまでそうなったらという仮定でしかないのだが。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ