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Festival in Crime -犯罪の祭典-  作者: 柿の種
Season 2 第5章 月を壊したかぐや姫
155/194

Episode 1


■【贋作造】


当然ながら、俺達は勝つつもりで動いている。

いや、動いていたが正しいのか。

……仕方がないだろう。指示を聞いてくれるプレイヤーはほぼ壊滅、他の自由に動いてるプレイヤーに関しても似たようなもの。


何?ゾンビアタックしてまでやればいい?

確かにそれは出来なくもないが……だが、アレはそういうものじゃないんだよ。

いつの間にかすぐ近くに迫っていて、そして対応する間も与えられずに殺される。

あんなものを今の今まで他の区画に知られなかったのは、周りの協力があってこそだろうな。


切っても再生し、叩き潰してもその性質からほぼ無傷。

どうにかするには……まぁ恐らく元凶を叩くしかないだろうよ。

元凶を叩くにはどうするか?

そんなものは自分で考えろ。それは敗れた俺の考えることじゃあない。

それに……そうだな。元凶の居場所程度なら提供してやってもいい。

あとで対価は貰うがな。


知っている理由だと?嘗めるなよ。

こっちは情報だけならどの区画よりも集まる区画所属だぞ。

中央の事に関しては……まぁ、アレは情報というよりは誰も話題にすらしてなかった出来事だからな。仕方ない。


……何故渡すのか?

そんなもの決まっているだろう。

お前の所の脳筋は曲がりなりにも王者なんだ。

元凶を潰すなら対人に特化している脳筋(バカ)が行った方が最適だろう?

それに、元凶潰しに躍起になっているそっちの区画は手薄になるだろう?そういう事だよ。


ハハッ、じゃあ精々頑張って元凶を潰してくれ。

……応援はしておこう。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



■【印器師A】ハロウ


私達デンスの有志プレイヤー、酔鴉含めるオリエンスのプレイヤー、そして途中で引っ張ってきたソーマ率いるネースのプレイヤー達によって、第三勢力である天使……その大本である【反海星 マリア・ステラ】が倒された後。

一度休みを、ということで各自セーフティエリアで睡眠などをとった後にデンス所属のプレイヤー……私達のパーティやスキニットなどが集まっていた。


「現状の確認をしましょう」


場所はいつもの、というよりは第一回の区画順位戦から私達の行きつけとなった喫茶店。

重要拠点……【劇場作家の洋館】の近くにあるために何かあった時にアクセスがしやすいというのもここに集まった理由の1つだった。


「現状の確認って言ったってさぁ……ねぇ?動きがないのはどこも同じじゃない?」

「そうでもないぞ」

「おや、そうなのかい?スキニットくん」


有志のプレイヤーから文字通り腕を貰いながら、CNVLが疑問を口にするものの……それに関しては既に確認済みの内容だ。


「まぁな。ハロウにはもう伝えてあるが、こっちが動かしてた偵察系のスキルに人型の何かが引っ掛かったって報告が来てる。途中で見失っちまったが恐らく隠密行動に特化したスキル持ちのプレイヤーじゃないか?」

「どの方面から?」

「分からん。……いや、正確にはどこの所属かは、か。方向は中央区画の方からだからな」

「あぁー……あそこどの区画にも繋がってるから分からないわけだ」

「そういうこった。アクセスが良いのも困りもんだな」


そう、既に何者かがデンスに入り込んでいるというのが分かっているのだ。

そんなものがいるのにここで現状の確認をしている時間があるのか?と言われると……正直な話、時間はないが意味はある。


「こっちの人形には……かかってないねぇ。人がいるなら何かしらログがくるはずだけど……」

「ん、赤ずきんは索敵用に人形何体配置してるのかしら」

「一応10体ほど。流石にそれ以上は私のキャパオーバーだねぇ。一応情報管理用の人形も作ったんだけど、それでも厳しいっちゃ厳しいからね」


そう言いながら、赤ずきんは近くの席に座っていた少女型の人形を近くに寄らせてお辞儀させる。

金色のセミロングくらいの髪に、綺麗な半目の碧眼をこちらへと向けながら薄く笑みを浮かべている。美人な人形だ。


「人形から来た情報を整理して私に報せてくれる『スーちゃん』だ。仲良くしてあげてくれよ?」

『どうも、皆さん初めまして。スーと申します、以後お見知りおきを』

「ぶほぉっ」

「?どうしたのよスキニット」

「ごほ、がはっ……いや、少し知ってる名前でな。……というかお前、マジか……」


何やらスキニットが赤ずきんの方を見ながら呟いているが、現状にはあまり関係ない話のようなので適当に流しておくことにした。


「とりあえず、このスーちゃんに人形からの情報は集まるから、私は後方で情報をまとめる役にしてもらいたいかなぁ」

「なるほどね……赤ずきんの作った人形なら何でも良いの?」

「何でもってわけじゃないけど、まぁそうだね。なんなら外に行くプレイヤー用に小さな人形作ろうか?連絡用の」

「……いいわね。頼めるかしら?最悪此処にいるメンバー分あればいいから」

「了解、じゃあ作らせておこう。3時間もあれば終わるから待っててくれ」


そう言って、彼女は手を振りながら喫茶店から出て行った。

あとはセーフティエリアで人形を作りつつあとから話を聞けば良いと判断したのだろう。

赤ずきんに軽く手を振りながら残ったメンバーとの情報共有を行なっていくことにした。


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