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Festival in Crime -犯罪の祭典-  作者: 柿の種
Season 2 第4章 天使にレクイエムを

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Episode 34


一定の時間差で飛んでくる光の槍を弾く。

私の力の入れ方が悪いのか、それとも弾き方が悪いのか。

弾く度に私の腕は痺れ、次第に力が入らなくなっていく。

それを見かねてか、マギが持っていた包帯を手に巻き双剣が落ちないように固定してくれた。


「……うーん、こういうところがVRMMOの悪い所よね」

「現実に近いから疲れたり、腕が痺れて力が入らなくなったり?」

「そうそう。多分脳が勘違いしてるんでしょうけど、今だけはどうにかしてほしいものね」


いくらステータスを強化しても、頭が錯覚を起こし手に力が入らなくなっていく。

言ってしまえばリアルに近いからこそ起こる弊害だろう。

運営にいうべきことではないし、そもそも設定から見えている景色などの解像度などを下げればいいだけなのだから。


「ハンマー使えませんけど……」

「大丈夫よ。そもそもこんな状況だと【隆起】くらいしか使い道ないし……それに取り回しはこっちのが良いから」


ハンマーは使えない。

といっても、そこまで苦しいわけでもない。

元々使っているのは双剣……というよりはハサミの方だが、兎に角ハンマーよりは心得がある武器種なのだ。

どうやって立ち回ればいいかくらいは身体に染みついている。


見れば、今も【反海星 ■リ■・ス■ラ】の近くではCNVL達が戦っている。

酔鴉はその拳を使い、自身に向かって飛んでくる光の槍を叩き落としながら、それ以外の四肢を使い本体へと攻撃を仕掛けている。

ソーマと神酒はと言えば、ソーマが盾を何枚も出現させ光の槍を防ぎながら攻撃をしているのに対し、神酒は防ぐことすらせず、頭や胸など通常人間の急所であろう場所に攻撃を喰らいながらそのまま攻撃を行っていた。

恐らくは何らかのスキルによる行動なのだろうが……それにしても常軌を逸しているとしか思えない。


そして、うちのCNVLはと言えば……獣臭い戦い方をしていた。

近い戦い方をしているのは神酒だろうか。そこに技術のようなものはなく、単純に自身のスキルの性能を押し出して攻撃を仕掛け、また回復しを繰り返していた。

流石に神酒のように急所に攻撃されては厳しいのか、それらを狙う攻撃に関しては逸らすか他の場所を犠牲にしながら戦っていたが、それでも中々なものだ。


「……げぇ」


じっとその様子を見ていたからだろうか。

【反海星 ■リ■・ス■ラ】のHP表示が光の槍の雨に紛れながら確認できた。


「どうしました?」

「いや、やっとHPが見えたんだけど……なーんかHPバーがほぼ減ってないように見えるどころか、徐々に回復してるように見えるのよ」

「それは……天使を吸収してるからですか?」

「恐らくね。HPが一定値減ったら行動変化って設定だったら……少なくともCNVLはコストの関係で保たないでしょうね」


持続回復は別にいい。他のゲームでも性質として持っているボスは存在するから、そこまで忌避するようなものではない。

しかしながら、あのダメージ頻度で回復を回しながら攻撃を仕掛けているCNVLにとって戦闘の長期化というのは致命的だ。


彼女の【食人鬼】は、攻撃や回復、ステータス強化にもコストを必要とする。

このままではいつぞやの決闘イベントの時のように、コストが足りなくなって途中敗退……なんてことがあり得るのだ。

彼女の攻撃能力を考えるとそれだけは絶対に避けねばならない。


「一応連絡を取ってみましょう。パーティチャットの方は?」

「ダメですね。メアリーの会話だと思ってやっぱりスルーされます。通話が一番ですかね?」

「そうね。私はメアリーの方に行ってくるわ。早く強めの一撃入れた方が良さそうだから」


そう言って、私は【反海星 ■リ■・ス■ラ】が見える位置から少し後ろに下がり、今もバリスタの組み立てを行っているメアリーに近づいていく。

周囲では私の気が付いた事実に他のプレイヤーも気が付いているのか、遠距離攻撃が行えるプレイヤーが主導となって弾幕を張ろうとしているものの、あまり結果は芳しくないようだった。

周囲に向かって放たれている光の槍が原因だろう。


遠距離攻撃……デンスやオリエンスはその区画の特徴から、遠距離攻撃となると弓矢や妖術魔術といったものになってしまう。

当然、普通に攻撃をする分にはコストが掛かるもののダメージ等は何も問題がない代物達だ。

では何が問題かというと……連射性。

コストが掛かるということは、イコールで装填・準備が必要になるという事。

つまりは連続して放つことが出来ないということだ。


「メアリー。ちょっと急いでくれるかしら。あのボスリジェネ持ってるっぽいのよ」

『ホント!?(´・ω・)それは大急ぎで削らないとだねぇ……(-_-;)』

「えぇ。あ、あと使う予定の矢ってある?今のうちに捺印しておくわ」

『あ、はーい!(゜д゜)!後で色々巻いたりつけたりするから曲げないでね!(';')』

「そんな力使わないわよ」


鈍色に光る金属製の矢を受け取り、それに私の持つバフ系の印章を捺印していく。

攻撃に拡張、それに使うかは分からないが俊敏の3つを捺印することにした。

役に立てばいいが……まぁそこは実際に撃ちだしてみないことには分からないだろう。


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