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Festival in Crime -犯罪の祭典-  作者: 柿の種
Season 2 第4章 天使にレクイエムを
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Episode 32


天使に加え、神父が時々襲い掛かってくるようになったものの。

特に私達にとって厳しいということもなく、順調に前へ前へと足を進めていた。

既に反節制の聖書らしき、浮かび光を放っている本が天使達の間から見え隠れしているため、慎重に進んでいけばそれほど時間は掛からずに到達する事が出来るだろう。


『矢の準備出来たよ!('ω')』

「了解、CNVLスキル止めて!」

「オーケィオーケィ。こっちは大丈夫だぜ、メアリーちゃん」


発声入力により、近くに居るCNVLとやり取りをしつつメアリーに対して返事を行う。


『じゃあ撃つよ、CNVL以外は当たったら死んじゃうから気を付けてね』

「お?メアリーちゃん?戦争か?」

『?????:P????』

「いいぜ、そっちがその気なら区画順位戦が終わったら覚悟しておきなね?」

「はいはい、そろそろマギが怒るから早く撃っちゃいなさい」


私の言葉に隣で戦っていたCNVLがずっこけそうになりつつ、その身体に光の槍や剣を喰らっていたが、彼女ならば問題はないだろう。

若干緩い空気感ではあるが、そこまで気負う必要もない場面だ。


『Fire』


短くチャットが送信された後。私達に襲い掛かってきていた天使達が急に少し離れた位置へと移動した。

何かと思い、後ろを見てその理由を察し。

私とCNVLは冷や汗をかきながら天使の少なくなった方向へと移動した。


ガガガガガ、という矢が普通出さないような音を立てながらソレは私達の背後から飛んできた。

身体を壁にしてまで止めようとしている天使達の抵抗も意味もなく。

強烈な風を纏いながら、メアリーが放ったと思われる矢が反節制の聖書へと飛んでいった。


速度はそこまで速くない。むしろしっかりと目で追える程度には遅いと言った方が正確だろう。

しかしながら、その矢自体に巻きつけられている札のようなものの効果なのか、しっかり真っ直ぐに、回転しながら力強く飛んでいく。

途中、目の前から神父が光の盾を展開し矢の勢いを止めようとしたもののほぼ一瞬で盾ごと神父の身体を貫き進んでいった。


「……何よアレ」

「【鍛冶屋】のスキル、なのかなぁ……凄い挙動してるけど多分正常なんだろうなぁ……」


私とCNVLは詳しくメアリーから【鍛冶屋】のスキル効果を聞いているわけではない。

だが攻撃系のスキルなどもあるとは聞いているものの、バリスタで撃った矢が遅くなるというスキルは聞いた事がない。

恐らくは貫通に特化させる上での弊害、もしくは風を纏っているのと関係があるのだろうが……それでも気になるのは確かだった。


「……聞くの自体は後でも出来るから、今はこっちに集中しましょうか」

「まぁねぇ……でもアレ結構正確に飛んでるから待ってても大丈夫なんじゃないかい?」

「あれが飛び続けるならそうでしょうけど、どこかで勢いが完全に落とされる可能性もあるからね。私達も出来るだけ前に進んでおいた方が都合はいいわ。丁度アレに天使達が群がってるんだからこっちの相手しないといけない天使は少ないし」


そういいながら、近くに居た天使の首を鋏み切る。

その様子に苦笑しながらCNVLは腕を喰らった。


「あは、確かにその通りっちゃその通りなんだけどねぇ。とりあえずアレなら止めてなくても大丈夫だろうし【フードレイン】使っておくよ」

「了解。私を範囲から除外しておいてくれれば文句は言わないわ」

「ごめん、そんな機能はないから自分で避けてくれ」


神父を含め、周囲の天使達は誘蛾灯に群がる蛾の如く今もなお進んでいく矢に群がっている。

メアリーが放った一点貫通型の矢は勢いそのままに進んでいるように見える……否、そう見えているだけだ。

流石に周囲の天使達が集まって身体や武器を使い止めようとしているのに、勢いが落ちていかないなんてことはないだろう。

……ないわよね?流石にゲームの世界だからって変な法則で動いてたり……しないわよね?


少しだけ不安になりつつも。

私とCNVLはほぼごり押しと言えるような速度で反節制の聖書へと駆け抜けてく。

それと同時、私達とは反対側の方面から光の柱が立ったのが見え、そちらへと天使が複数飛んでいくのが見えた。

記憶が合っているのであれば、ソーマ率いるネース所属のプレイヤーが居た方向のはずだ。


恐らく私達と同じように中心を目指し進んでいるのだろう。

お陰でそちらにも天使の数が割かれているのか、私達へと襲い掛かってくる天使の量が先程よりも減っている。


「見えたッ!」

「よし、このまま一気に行こうか!」


何体かの天使を光へと変えながら前に進み。

一瞬はっきりと見えた反節制の聖書、それがあるからかぽっかりと開いた空間に向かって頭から飛び込んだ。


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