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Festival in Crime -犯罪の祭典-  作者: 柿の種
Season 2 第4章 天使にレクイエムを
133/194

Episode 21


--浮遊監獄都市 カテナ 第二・第三区画境界地

■【印器師A】ハロウ


『あー、連絡。連絡。ごめんコレ一回死に戻るかも』

「え、本当?」

『マジマジ。予想より数が多いぜこれ。でもまぁ出来る限りやってみるから、朗報を待っててくれよ』


天使達と戦いながら中央区画へと向かって進んでいると。

突然、先に中央区画へと進んでいったCNVLからそんなパーティチャットが届いた。

『犯歴』によって自己回復をすることが出来る【あなたを糧に生きていく】を強化しているCNVLが天使に囲まれた程度では死ぬとは思えないのだが……想像よりも数が多かったのだろう。

それこそ、ゾンビスポーナーを放置しすぎて敵が増えすぎた時と似たような状況になっている可能性もある。

同じくパーティチャットが見え、聞こえているマギとメアリーは深刻そうな顔をしているものの、やることは変わらない。


「どうしたァ?」

「CNVLから連絡があって。一回死ぬかもって」

「……そいつァ穏やかじャねェな。俺も行くか?」

「いえ、それはやめておきましょう。一応パーティメンバーのHPは把握できるし……今も回復しながら戦ってるみたいだから暫くは保つでしょう。私達が全員で追いついた方が戦力的にも安全だし」


近くの天使を斬り飛ばしながらこちらへ聞いてきたに禍羅魔に対し、大丈夫とにっこり笑う。

言ってしまえば、CNVLが死んだとしても区画順位戦中のデスペナが入るだけで特に痛い思いはしないのだ。

だからこそ彼女の為に無理矢理この場を突破するよりも、少しでもこの場の天使を消して少しでも余力を残した状態で中央区画へと向かった方がいいだろう。


「でも一応もう一度連絡はするわ。CNVLの返答によっては中央区画に無理矢理助けにいくかもしれないから、酔鴉に言っておいて」

「了解ッと」


だが、それは通常の敵が存在する場合の話だ。

何かしら特殊な……それこそ、ダンジョンボスに匹敵するようなギミック持ちの敵が存在した場合、CNVLだけで対応するには厳しい。


「マギ、連絡とるからその間よろしく」

「了解です。ある程度は対応しますけど、流石に最低限の自衛をお願いします」

「それくらいはするわよ。大丈夫」


溜息をしながら周囲に何やら人型をした液体を出現させるマギに苦笑いしつつ。

私はパーティチャットではなく、フレンドリストを開きCNVLへと直接連絡をする。

パーティチャットでは一度は目を通すだろうが、普段メアリーが会話用に使っているため反応が悪いというのもある。


「あー、あー。CNVL-?ちょっと返事しなさいよー。おーい?」


ゲーム内での音声通話をCNVL相手に掛けつつ、双剣によって近寄ってきていた天使を牽制する。

近くに来てくれたマギにある程度は任せているものの、彼はそもそも後方から援護する役割(ロール)を得意としてるプレイヤーだ。

どんなに頑張っても漏れというのは出てきてしまうため、その対処くらいは自分で行う。


『ん?あれ?こっちで連絡してくるなんて珍しいねぇハロウ』

「繋がったわね……パーティチャットだとメアリーの連絡と色々混ざるでしょう。とりあえず状況をもう少し詳しく教えてくれる?HP自体はパーティの機能で見れてるけど実際の状況は分からないから」

『あー成程。今は中央から離脱してる所だぜ。流石に多すぎたからね。あぁ、神父みたいなのが居て天使達を生み出してたよ』

「……それを先に伝えなさいよ……」


思わず手を額に当てそうになってしまうが、そんな事をすれば周りにいる天使達に隙を見せるようなものだ。

深く溜息を吐き、パーティチャットの方にCNVLからの情報を書き込んでおく。

こういう時に思考操作によってチャット入力が出来るのは便利だ。


「で、結局今はどの方向に逃げてるのかしら?」

『一応そっちじゃなくてディエスの方だねぇ。えぇっと……うわ、大体20体くらいが追いかけてきてるから、そのまま適当なディエスのプレイヤーに引っ掛けるよ』

「思いっきり普段だったら怒られる行為ね……完全にMPKじゃない。区画順位戦中じゃなかったら炎上モノよ?」

『ハハッ、それを言ったらいつもやってるPK活動でもう炎上してるぜ?』


CNVLが向かっているという、第四区画ディエス。

様々な区画が揃っているこのカテナの中でも、現実に一番近い風景が再現されている区画だ。

私は区画決めの時に見て回った程度で、そこまで詳しくはないのだが……掲示板を普段見ている限り、情報が他の区画にあまり出てこないと言われている区画でもあったはずだ。


「……ディエスに突っ込んでいって大丈夫なの?」

『なぁに、これでも何回か行ってるから裏道とかには詳しいんだぜ?適当に撒いてそっちと合流するよ。デスペナ喰らったら連絡するよ』

「了解、じゃあ私達はこのまま中央に向かうわ。合流するならデンス側から来て頂戴。分かりやすいから」

『了解』


パーティチャットにその内容を書き込んだ後、CNVLとの通話を終了した。

とりあえず聞きたい事自体は聞けたため、後は彼女が合流するのを戦いながら待てばいいだろう。

頑張ってくれていたマギと入れ替わり、前線へと立つ。


双剣からハンマーに持ち替え、【隆起】によって目の前に簡易的な壁を作り出し攻撃を仕掛けてきた天使の妨害を行う。

その後壁に【衝撃】の面を叩きつける事で壁ごと天使を弾き飛ばした。

区画順位戦はまだ始まったばかりだ。

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