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Festival in Crime -犯罪の祭典-  作者: 柿の種
Season 2 第4章 天使にレクイエムを
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Episode 13


犯歴(キャリア)』の仕様を少しばかり把握し、区画順位戦の前兆らしきNPCを見たとCNVLに報告を受けた後、私達は結局いつも通りに数日間ほどダンジョンに潜りレベルアップや自身の技術の向上を目指していた。

というのも、天使のようなNPCについては掲示板にも報告があがっていたくらいには多くのプレイヤーが見かけているようで、私達が表立って調べる必要がなかったのだ。


掲示板によれば、そのNPC達は容姿や声などは異なるものの……皆同じように翼が生えており、話しかければ『下見をしているだけですのでお気になさらず』という言葉を残して去ってしまうそうだ。

ここで言う下見が何を意味しているのかは分からないものの、それが良い意味ではなさそうなのは分かっている。

準備は出来る限り最大限に行った方が良い。

現場に出てしまえば準備をする時間も取れないのだから。


「で、今日なのよねぇ……」

「まぁ出来る限りやろうぜ?一応オリエンスとはまた組んでるんだろう?」

「一応ね。始まったら酔鴉と禍羅魔がこっちにくるみたいよ?さっき個人チャットに連絡きてたし」

「……最大戦力じゃないか。オリエンスの方は大丈夫なのかいそれ」

「ほら、貴女も戦ったマーキス……アルファ1って人居たでしょう?あの人たちがいるから、彼女達がいなくても回るそうよ」


そして区画順位戦当日。開始は昼頃からとはなっているものの、私達は少し早めにログインし最終チェックを行っていた。

場所はデンスの第一階層の喫茶店……第一回区画順位戦の時に立て籠った思い出の店。

あの時はゾンビパニックものの映画のようだったなと思いながら、インベントリ内を整理していく。


インベントリ内から【HL・スニッパー改】を双剣かハサミのどちらかの状態で取り出すテクニックをしやすくするためだ。

といっても、インベントリから取り出す操作は思考で行えるため整理する必要はあまりなかったりもする。

では何故しているかといえば、


「はい、マギ。これで材料は足りるかしら」

「そう……ですね。足ります。これで2つの区画だけに効果を出す薬が作れますね」

「良いよねぇ、その生産スキル。【魔女の(ウィッチ)製薬(クラフト)】だっけ?」


マギに薬を作ってもらうための材料探しの為だ。

彼は今【薬剤師】からその上位の【犯罪者】である【魔女】になっている。

彼によれば、更に薬の精製に特化した【犯罪者】らしいのだが……いつぞやのCNVLのように「僕らしい【犯罪者】になりましたね」と笑っていたのはどういうことなのだろうか。


レベル自体は少しばかりしか上げられていないものの、普段彼の立ち位置は後方。

今まで培った防御技術さえあれば乱戦になったとしても何とか生き残れるだろうとのこと。


『あ、ハロウ。調整終わったから返しておくね。一応要望があったノームの素材とかも混ぜておいたけど大丈夫?('ω')』

「えぇ、大丈夫よ。ありがとう」

『調整したからなのか、印章が消えちゃってるから気を付けてね(´・ω・)』

「そこも大丈夫、ここで彫っちゃえばいいから」


そういってメアリーから受け取ったハンマーの詳細を表示する。

元々渡したハンマーは武骨な鋼色をしたものだったが、受け取ったものは少しばかり茶色がかった色に変化していた。

持ち手の部分には何かの革が使われており、(そういえばノームの革も渡したな)と思い出した。


―――――――――――

【土精の鎚】 武器:大鎚

装備可能レベル:15

制作者:メアリー

効果:攻撃時に一定の確率で土属性の追加ダメージ発生

   装備破壊確率+5%

説明:土精の素材を練り込んだ金属で作られた大鎚。

   敵対するものに大地の怒りを。

―――――――――――


「土属性……成程、流石ファンタジー区画ね。まんまそっち系のネタじゃない」

「あは、属性によっては効きづらい敵とか出てくるんだろうねぇ。安定させるなら今まで通りに所謂無属性を使って、弱点が分かっているなら特化しているものを使うってのが主流になりそうだ」

「オリエンス以外にこういうのが流出してるなら、ね」


私達が知らなかった、ということは掲示板にも滅多に情報があがっていないということだろう。

オリエンスだけではなく、他の区画所属のプレイヤーらしき書き込みも見かけた事がなかったことから、属性付きの武器を作るのが難しいか単純に情報操作がされているかのどちらか。

まぁただ……私は隠すつもりがないため、今回の区画順位戦で広まる可能性が高いが。


「さて、と。彫る印章はどれにしましょうか」

「前に彫ってたのは【衝撃】だけでしたっけ?」

「そうね。まぁアレも試しに彫っただけだったのだけど……丁度いいし使い分け出来るようにしましょうか」


私はインベントリから作成キットを取り出し、片面ずつに違う印章を彫っていく。

片方は今までと同じ【衝撃】を。

もう片方には、また別の印章を彫ることにした。

未だ初心者用のキットを使っているが、今回の区画順位戦が終わり次第【印職人】に一度ランクアップするつもりのため、そろそろ中級キットを探してもいい時期かもしれない。


「ん、知らない奴だ。なんだいそれ」

「【隆起】っていう攻撃用の印章よ。対象は地面や床限定の接触地点を結構な高さまで盛り上げてくれるのよ。使えるわよ?」

『近接相手には妨害、遠距離相手には咄嗟の防御手段になるのはいいねぇ(゜д゜)!』


そんな会話をしながら、時間は過ぎていく。

イベント開始の時間はあと少しというところまで迫ってきていた。


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