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Festival in Crime -犯罪の祭典-  作者: 柿の種
Season 1 第3章 オンリー・ユー 君だけを
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Episode 33


--浮遊監獄都市 カテナ 第二区画 デンス 第二階層

■【印器師A】ハロウ


程なくして、CNVLに作ってもらっていたトンカチが完成し、それに対しての彫刻も完了した。

彫った印は攻撃、防御、再生、拡張、俊敏のバフ系5個と、諸刃、脆弱、阻害、空目、鈍足のデバフ系5個の計10個。


バフ系の印はCNVLとマギは一度見たことがある為、ある程度なんの印かは察しがついていたようだが、デバフの方は見せるのは初めてだった為困惑顔だ。


デバフの5個、それぞれの効果を説明するとすれば、


・諸刃:捺印された相手の与ダメージを一定時間低下させる。

・脆弱:捺印された相手の被ダメージ量を一定時間増加させる。

・阻害:捺印された相手のHP回復効果を一定時間無効化する。

・空目:捺印された相手の攻撃射程を一定時間短くする。

・鈍足:捺印された相手の俊敏性を一定時間低下させる。


というもの。

長ったらしく書いたものの、簡単に言ってしまえばバフ5個の対となる性能のものを彫っただけだ。

これらも一応、初心者向けの印の為効果は低い。


「トンカチにして欲しいってのはそうやって使うためだったのかぁ」

「一応これでも問題はないみたいだから。【印器乱舞】だと、どっちかを指定するように指示されるし運営的には想定内のはずよ。効果量のバグについては……ほら、さっき公式で修正したってアナウンス出してる」

「あ、ホントだ。仕事早いねぇ」


私はそれらの印を、トンカチの頭……通常使う面にバフを、反対側の面にそれに対応したデバフを彫り、効果がキチンと発揮されるかを確かめておく。


今回は無駄にMPを使いたくはなかったため、キットの中からインクを取り出し付着させ、【印器乱舞】でどちらも指定できるかを確認した後、近寄ってきていた他のプレイヤーへとデバフ面を捺印させておく。


『あー、あれPKプレイヤーだね。掲示板であの名前見たことあるよ( ・∇・)』

「あらそう?もしあれだったら他のデバフも入れるから掲示板経由で引き取ってもらいなさい」

『はーいd( ̄  ̄)』


動作確認しつつ、全体的に問題がないと判断し私達は早速【決闘者の墓場】へと向かう。

まだ私のレベルが8に届いていないため、少しばかり3Fで戦うことにはなるが……まぁ問題ないだろう。

少し試したいこともある。




--第二区画 第二階層ダンジョン 【決闘者の墓場】 3F


「あー……やっぱりそうなるわよねぇ」

「ある意味無敵だねぇ。これはこれでまたいいんじゃない?」

「経験値稼ぎにはなりませんけどね」


私が確かめたかったことは単純で。

このダンジョンに出現する敵性モブであるスケルトン達の習性?の確認だ。


習性といっても、主に確かめるのはその弱点とも言える液体を異様に嫌がる点だけなのだが。

では何を使って確かめるかといえば、


「【洋墨生成】だけでこうなるなんてねぇ」


インクを生み出すこのスキルだろう。

このスキルを使うと、私の周囲に白く濁った半透明な液体が出現……いや、私の身体から湧き出ると言った方が正しいだろうか。

そう、インクとはいえ液体。

それも発動後は消費していかない限り私の周囲の空中を漂うように存在しているのだ。


この状態でスケルトンに近づいたり、戦闘中に使った場合どうなるのか。

結果から言えば、汚物に対するような反応をされて避けられた。

少しだけ、本当に少しだけショックだった。


「とりあえずここでハロウが8レベくらいになるまでレベリングかな」

「まぁそこまで時間はかからないでしょう。数も多いし、シェイクスピアと違ってここは最前線ともいえるダンジョンなんだし」


そんなことを言いながら、私達は少し移動しギミックのある扉を探すことにした。

態々スケルトンを探すよりも、スケルトン側に来てもらった方が楽だと考えたためだ。

危なくなっても近くにいるスケルトンに関してはインクによって自分からは近寄ってこないし、遠距離系に関しては、


『2Hit!』


調子が良いらしいメアリーによって、射線が通った瞬間に倒されているためそこまでの脅威とならない。

やはりレベル上げや素材集めだけ見れば良いダンジョンなのだろう。

攻略する側から言わせてもらえばクソと言いたいが。


と言っても、メアリーだけに戦闘を任せておくのは流石に申し訳ないため私も参加する。

【印器乱舞】によって、インクによって近寄ってきていなかった近接系のスケルトン達3体を指定し、それぞれに脆弱、空目、鈍足の印を捺印させていく。

諸刃と阻害を使わない理由は単純にこちらに近づいてこないし、HP回復程度どうとでもなるからだ。


代わりに自分に対して攻撃を付与した後。

懐かしくも心許ない武器である使用済みナイフを手に持って鈍足の印を捺印したスケルトンに接近し、力の限り頭蓋骨へとナイフを叩きつけた。

攻撃の印のお陰か、それともクリティカルが入ったのか。そのまま半壊した頭蓋骨は光へと変わり、程なくしてその全身も光となって消えていく。


周りのスケルトン達は私の周りに漂うインクを嫌がり近づいてこない為、このダンジョンでは終始出来なかった各個撃破が安定して出来る。

それだけでもかなりストレスが軽減されているのが分かり、少しだけ笑みを浮かべてしまう。


「よし、レベル上がるまでやるわよ!メアリーはある程度在庫の消費抑えて!」

『あいあい!(・∀・)』


こうして、目標である8レベになるまでギミック部屋を周っては耐久するという周回を繰り返した。

予想以上に楽に進んだため、最後の方など世間話をしながら倒していたくらいだった。


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