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15.判決

 祐子の裁判は異例の早さで始まった。世間の関心が大きく、無罪の声が大きかった。裁判員制度も始まり、裁判員も祐子に同情的であった。裁判で祐子は、こう訴えかけた。


 「私は、Iを殺せたこと後悔していません。望むのは十年前のあの日のように、Iと同じように裁いて頂く事です。私がIを殺したのは事実です」


 裕子は、刑罰制度に疑問を抱いていた。

 父と母を殺したIが死刑にならないのは、何かがおかしいと思っていた。だから、裕子はIと同じように裁いてほしいと思った。

 裕子は、Iの価値を測りたかった。刑罰が軽い程、Iの人としての尊厳は踏みにじられるだろう。


 裁判の結果、祐子は殺人罪で懲役一年の刑となった。この手の刑罰としては異例の軽い刑であった。


 ◇◇◇


 その後、被害者の血縁者が出てきて損害賠償を請求した。

 祐子は何と恥知らずなのだろうかと思った。裕子も叔父も初めて会う人達だった。

 

 結局、叔父の交渉の結果、Iの祐子への損害賠償の未払いと相殺される事になった。また相殺後も、むしろIから祐子への未払い額が上回っており、叔父は逆に彼らに賠償請求を行おうとした。

 すると彼らの関係者は、掌を返して一切関係ないといいはり、煙のように姿を消してしまった。


 「あぁ、Iですか。血縁者だったのですが、縁を切っていたのを忘れていました。すみません、私の勘違いで。損害賠償を請求する権利が私にもなかったのです。だから、裕子さんへの損害賠償を肩代わりする事はできません」


 叔父さんと最後に話をした人は、こう言ったらしい。


 裕子の心は、再び冷え込んでいた。

 あまりにも、裕子と家族をバカにした行為だった。

 

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