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14.ある警察の取り調べ2

 俺は、とある事件に頭を悩ませていた。そう、殺人事件だ。

 祐子という女性が、Iという男性を私刑にし、明確な殺意をもって殺した事件だ。遺体からは女性の強い恨みを感じ取れ、遺体は原型を留めていなかった。

 

 女性には酌量の余地があり、かくいう私もIという人物を非常に憎んでいた。過去にIが起こした事件を取り調べた事があるからだ。Iは殺されても文句は言えないと思う。


 さらに悩ましいのが祐子という女性が非常に常識的でおおよそこのような場所にいる人物ではないということだ。同僚の取り調べ記録だ。


 同僚「なぜIを殺したのですか?」


 祐子「十年前のあの日、父と母が殺されました。Iは反省もせず、まるでIが被害者のように振る舞いました。Iは一度も私達に謝罪をしていません。そんなIが生きているのが許せず、殺しました。警察が死刑にしてくれれば良かったのにと、思っています。」


 同僚「そうですか。この殺人に後悔はありますか?」


 祐子「ありません。清々しい気持ちです。父と母が死んだあの日、私の中に燻り続けていた何か、それが消えました。Iがあんな事をしなければ、私はこんな事をしなくてすみました」


 祐子容疑者の立場であれば、警察の俺だって迷いなく殺していたかもしれない。

 だって、そうだろう。Iの悪逆非道ふりは十年たった今でも思いだされる。Iからは反省の意思もなく、きっと裕子容疑者の事等何も考えていないに違いないのだ。 

 

 裕子容疑者の刑罰について、だが。


 自首している事、叙情酌量の余地がある事、世論が追い風な事もあった。

 有罪判決には間違いないだろうが、比較的軽い刑期になるだろう。

 しかしそれは日本の刑罰法の話だ。


 そして、俺は嫌でも考えてしまう。果たして彼女に罪はあったのか。

 きっと彼女は、Iがいなければ人を殺す事もなければ、警察と顔を合わす事もなかったはずだ。


 彼女の罪、未だに俺はそれを理解することはできなかった。


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