第一話 バンドマンの迷走
声劇用の台本です
バンドマンたちのコメディです
声劇用の台本です
役
ギター どちらでも可
ベース どちらでも可
サブギター 男
ドラム 男
計 4人
舞台 スタジオ(練習)
(ベースが練習場に入っていくところから)
ベース「ちーっす。なあ、最近の俺らって駄目だと思うんだよ。」
ギター「ん、何が?」
ベース「いやてめぇの頭だよ。なんで半分だけ剃っちゃったの?しかもなんで残りの半分が紫色のアフロってどうゆうことだよ。」
ギター「いやぁ、これはね。勢いでやっちゃったっていうか、ノリで、ね。そういうこともあるじゃん?」
ベース「ねえよ。お前の頭がパーなのはわかってたけどちょっと前なんかはかっこいいって黄色い声援があったじゃん。こんなんじゃおっさんの雄叫びすら聞こえないよ。」
ドラム「まあまあ。落ち着こうよ。」
ベース「そんな恰好で言われてもますます混乱するだろうが。なんで股のとこから白鳥の顔がコンニチハしてるの?なんでトラの毛皮のマントはおって上半身裸なの?なんでミニスカ履いてピンクの網タイツなの?
意味わかんねぇよ。」
ドラム「これは力強い野生性と自然界の曲線的な美しさ、そして日本の現代文化が見事に調和した究極の形なのだよ。(ドヤァって感じで)」
ベース「ガッデム!」
ドラム「ちょっ、ギター、俺の白鳥さんをトントンしないでくれるかな。」
ギター「なんか赤べこみたいだな。ばあちゃんの家を思い出すぜ。」
ドラム「そういやおばあちゃん元気?」
ギター「元気だよ。たまには顔出してやらないとな。」
ベース「そんな恰好で行ったら収穫されちまうだろうが。ナスか紫キャベツかと思われてヤラレちまうぞ。ばあちゃんの晩御飯にされておいしく頂かれちまうぞ。」
ギター「大丈夫だって。孫の顔くらいすぐわかるって。」
ベース「いやわかんねぇよ。来た時部屋間違えたかと思ったし。」
ドラム「まあまあそんなカッカしてると体に良くないよ。」
ベース「そうだな。いったん落ち着こう。ふう。それでだ。方向性をちゃんと決めとくべきだと思うんだ。」
ギター「そりゃ。世界一のバンドになる、でしょ。」
ベース「もっと具体的なことをさ。例えばファッションを統一するとかさ。なんか意見はない?」
ドラム「同じものを身に着けるとかどう?」
ベース「それはいいかもしれないな。何がいいと思う?」
ギター「小松菜。」
ドラム「レモン。」
サブギター(以降サブ)「チャーシューがいいと思いまーす。んで、何の話してるの?ラーメンのトッピング?」
ベース「よお、遅かったな。じゃなくて、どうゆうことだよ。はぁ。具体的なことの前に精神性から統一していった方がいいかもな。」
サブ「んで、何の話してるの?」
ドラム「これからのバンド活動をどうしよっかってこと。見た目とか統一した方がいいじゃないかって話になってみんなで身に着けるなら何がいいかなってことをいってたわけ。」
サブ「なるほど。そういうことか。俺もちょうどそのことで話があるんだけどいいかな。」
ベース「どうした?」
サブ「いやぁ、言いにくいんだけど、俺このバンドやめるわ。」
ギター「どうゆうことだよ、なあ、なんでいきなりそんなこと言うんだよ。」
サブ「俺さ、前からヘルプでほかのバンドでもギターやってんじゃん。そのバンドが人気でできたから移ろうかと思って。」
ベース「サブ、ベースの空きはあるのか?」
サブ「んー、はっきりしたことは言えないけどベースの人があんまりうまくないんだよね。メンバーもたまに愚痴ったりするくらいだからいけると思うよ。」
ギター「ちょっ、まってよ。俺をおいていかないでくれよー。」
ベース「いつまでも燻っているわけにはいかないからな。」
ギター「そんなこと言うなよ。ドラムは残ってくれるよな。」
ドラム「まあいいけど。」
ギター「ちょ、冷たくない?」
ベース「お前の頭があたたかすぎるんだろ。」
ギター「ほんと頼むって。みんなで力を合わせれば絶対やれるって。」
サブ「ライブの時間さえかぶらなければヘルプで来れるし、このバンドはまだしばらく続けるってことでいいんじゃない?ベースもそれでいいだろ。」
ベース「サブがすぐにやめるわけじゃないなら、続けようかな。」
ギター「二人ともほんとありがとう。ドラムも一緒に頑張ろうな。」
ベース「気を取り直して、これからのことを考えようか。サブ、何かいい考えはあるか?」
サブ「ロックの源流に帰って、メッセージ性の強い曲をやるとかいいんじゃないか?」
ドラム「なるほど。でも、政治に詳しい奴なんていないぞ。こんなのはどうだ?動画サイトにアップして注目してもらうってのは?」
ギター「それいいじゃん。さっそくやろうよ。」
ベース「じゃあそれをやるとして、どんな動画をアップするんだ。」
ギター「みんなでかっこよく演奏してるところで良いんじゃない。」
サブ「ありきたりな感じはするけど、とりあえずやってみるか。」
(収録後)
ギター「よっしゃー。とり終わったぜ。」
サブ「アップする前にちゃんと撮れてるか見てみようか。」
ギター「んじゃいくよー。スタート。」
(そこには先ほどの自分たちが映っていた。)
ギター「なんかパッとしないね。」
ベース「そうだな。でもとりあえずアップしとこうか。」
サブ「思ったんだけど、なんで着替えてないの?だだの変態集団にしか見えないんだけど。」
ベース「目がなれてしまっていた、だと?」(崩れ落ちる感じで)
ドラム「かっこいいじゃん。どうしてお前にはこのカッコよさがわからないんだよ。美しくも力強いこの姿が。」
サブ「うん、年末に酒とドラッグでトリップしてたならかっこいいと思うかもな。それと白鳥さんの首を持ちながらしゃべんないでくれる?」
ギター「要するにかっこいいってことだよね。」
ベース「ギター、かっこ悪いって言ってるんだよ。」
ドラム「たとえかっこ悪いと言われても俺はこの格好をやめるつもりはない。あっ。白鳥さんが、はくちょうさんがー!」
ギター「ギャー、首がもげたー。」
ベース「どうやら白鳥さんはサブに賛成のようだ。」
サブ「さあ、脱げ!この変態野郎。脱ぐのを断るというのか。ならば俺が脱がしてやろう。」
ドラム「ちょっ、手をワキワキと動かさないでくれよー。」(涙目)
ギター「ちょ、サブ!ここじゃまずいって。そういうのはちゃんとしたとこでやるべきだよ。」
ベース「そうだな。これからドラムは男同士のハジメテを迎えるんだ。ちゃんとしたところでヤルべきだな。サブは経験あるからちゃんと優しくヤッてくれるさ。」
サブ「えっ、なんで知ってんの?」
ドラム「ハジメテだから優しくしてね。」
ベース「やっぱりお前、男も経験あったのか。受付のお兄さんがお前にウインクしてるなーとは思っていたが、そういうことだったのか。」
サブ「まあ、そういうことだ。」
ギター「まじかあ、男同士ってのは姉貴の本棚だけかと思ってたが実際にあるんだな。」
ベース「読んだことあるのか。」(白い目で見る感じ)
ギター「姉貴にも恥ずかしい本の一つや二つあると思ってこっそり見ただけだぞ。」
ベース「そしてびっくりして最後まで読んでしまったと。なるほど。」
サブ「はあ、なんかやる気なくした。今日は練習やめて服を買いに行くのがいいんじゃないか。」
第一話 終わり
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