風呂場でのアレコレ
「最悪だ~。恥ずかしいとこを全部見られた……。前はじっくり見られなかったから隠せたと思ったのに~」
悪いけど前から隠せてなかったし。
でも今回は、ポーズがエロかったからな。恥ずかしいだろう。
「アリスお姉ちゃんは少し落ち着いたほうがいいよ?」
結衣に言われると、さすがに恥ずかしいのか、凄く落ち込んだ。
「それで……アリスは何が恥ずかしいの?」
「リアは常識を学びなさいよ? 女の子は裸を簡単に見せたらダメなんだから!」
「何でダメなの?」
「何でって……何でもよ!」
理由を言葉にするのは恥ずかしいのらしく、マリーナは真っ赤になって返した。
「じゃあ隠す」
外に出て下着を着けて戻ってきた。
「これで隠れたよ?」
レイラが無言で下着を脱がし、タオルを巻いた。
しかし湯船に浸かる時に、アリス先生からタオルをお湯に入れないように言われて、フィーリアはいつもの困ったような顔をした。
「タオルを巻いたり剥がしたり、私には意味が解らないよ?」
「そういうものだと思いなさい」
マリーナの言葉に、首を傾げてから納得したように頷いた。
「男が入ってる時に風呂に入るなって教えたほうが早いんじゃないか?」
「そしたらリアだけ旦那様と入れないじゃない」
その前提のせいで注意しなきゃならないんじゃないか?
「ところで、今日はどんな魔物を倒したんですか?」
「ああ~、不気味なやつだった!」
名前を忘れたんだな。
「ハイトロールとハーピーよ、姉様」
「そうだったそうだった。そんな名前のやつでさ~、頭が2つも有って不気味でさ~、なんか回復するんだよ! 気持ち悪かった!」
「結衣の魔法だと、あんなに回復しないくらいだったよ、叔父ちゃん」
トロールは回復力が高いって聞いたしな。
上位のトロールだと頭が2~3個有るらしいから、頭を潰されても片方の頭で活動して、そのうち再生するらしいな。
本当に異世界って驚異の生物がいるよな。
地球人の体のまま来てたら、確実に死んでただろうな。
「私はハーピーが怖かったわ」
「何でだ? マリーナの実力ならハーピーくらい、それほど怖い相手じゃないだろ?」
「怖いのは顔よ。顔と胸だけ人間なのに、無表情で動いてるんだもん。近付くと牙を剥き出しにして威嚇してくるし。夜に出会ってたら悲鳴を上げてたわ」
それは確かに怖い。一種のホラーだな。
「食事してるとこだったんだけど、血塗れの動物にかじりついて、口元が血だらけになってて、動物の内臓がはみ出してたわ。トラウマになりそう……」
青い顔をして怯えているマリーナの頭を撫でて、落ち着くまで抱き寄せた。
「結衣も抱っこして!」
結衣も怖い目に遇ったからな。
もともと甘えん坊だし、羨ましくなったんだろう。
「魔物ってほんとに不気味な生き物だよな~…………アタシもちょっとチビりそうになったぞ?」
それは何のアピールなんだろう? 抱っこして欲しいんだろうか?
とりあえず結衣と一緒に、膝の上に乗せてみるか。
「ぎゃああぁぁ! おっぱい触ってるぞ!」
おっぱい? 脇の下に手を入れて抱っこしただけなんたが。
まったく膨らみがないな。27歳でこれは奇跡的だな。
「お・ま・え・な~~! レディのおっぱいを無造作に触るなよ! 触るなら優しくしろ!」
オレは夢でも見ていたのか? おっぱいの感触はまったくなかったのに、怒られてる。
「姉様、私には子供を抱っこしたようにしか見えなかったわ! いやらしい感じはなかったわよ?」
「アリスさまのはおっぱいと言うより~、胸部ですね~」
「私のと変わらないね?」
フィーリアが自分の胸とアリス先生の胸を揉み比べている。
どっちの胸も、揉むほどないけど。
「おまえら~! 泣かしてやるからな!」
アリス先生の体から、赤い炎のようなオーラが噴き上がり、それはバーナーのように激しく燃えた。
お湯が吹き飛び、女性陣のおっぱいが揺れる。
3人くらい揺れる胸はなかったが、名誉のために秘密にしよう。
「アリス姉様! 落ち着いて!」
「う~ん、素直な感想を言っただけなんですが~。私は吹き飛ばされそうです~」
「結衣は叔父ちゃんにくっついてるから平気!」
「私は壁にへばり付くよ。でもアリスは何で怒ってるの? 事実を言われただけなのに?」
壁にへばり付きながら、器用に首を傾げるフィーリア。
体重が軽いので、鯉のぼりのようになっている。楽しそうにしてるな。
お湯が全部なくなったな。全員の裸が丸見えになってるんだけど、気にしないのか? 余裕がないだけか?
「おまえら! そこに並べ~!」
「そんな魔力で殴られたら痛いからイヤよ!」
「私は死んじゃいますね~、あはは」
余裕があるのか諦めの境地なのか判りにくい表情だな。
「このっこのっ! アタシのおっぱいに文句があるのか!」
「痛い痛い。姉様、痛いわよ!」
マリーナとレイラに怒鳴ってたのは、自分よりおっぱいが大きいからだったようだ。
執拗におっぱいを掴んで引っ張っている。まるで自分のおっぱいに足そうとしてるみたいだ。
見た目が小さいので、子供がお菓子を欲しがって駄々を捏ねてるようにも見える。
「ア、アリスさま~、私のおっぱいは取れませんよ~。着脱式ではないですよ~」
レイラの胸には憎悪すら感じる迫力で引っ張ってるな。
「このおっぱいか~! アタシのおっぱいをバカにするのは~!」
別におっぱいがバカにしてるわけじゃない。
ただ元気に育っただけだと思う。
何で胸の大きさに拘るかな~? 別に大きくても小さくても普通でもいいじゃないか。
自分を好きになるのが大事だよな。オレはアリス先生の胸の大きさには拘ってないし。
なんか前向きになれる言葉とかないだろうか? オレはおっぱいに拘りがないから、胸に関する前向きな言葉なんて知らんし。
「えーっと…………小さくても大きくてもおっぱい?」
ダメだな、たぶん。
「アタシは揉めるおっぱいが欲しいんだよ~!」
ごもっともだ。
「何でアタシの胸は大きくならないんだ~!」
「私は何もしてないのに大きくなったので~、分かりませんよ~」
レイラをユサユサ揺らしていたアリス先生に、止めの一撃だな。固まったまま動かなくなったぞ。
レイラのお尻が丸見えだし、アリス先生は前が丸見えだし、なんなんだこの状況。
ていうか、アリス先生の体は、裸というよりスッポンポンと言ったほうが似合うロリ体型だな。
「アリスお姉ちゃん、どうしたの?」
「ショッキングな事実を知ってしまったんだろ?」
「お兄ちゃん、何があったの? 私には何がショッキングか解らないよ?」
フィーリアは胸の大きさは気にしないんだな。
人と人が解り合うのは大変だな。
アリス先生がズルズルと崩れ落ち、魔力のオーラが消えた。力尽きたか?
「アタシなんて揉んでくれる恋人もいないから、マッサージ店のお姉さんに、子供にはまだ早いわよって言われながら頑張ったのに…………レイラは何もしてないのに巨乳か~。神様も魔力よりおっぱいくれたらよかったのに……」
この世界で必要なのは魔力であって、おっぱいではない。
「せめて魔力のオーラじゃなく色気が湧き出ればいいのに」
色気でどうやって戦うんだよ。
ドラ○エ11みたいな可愛らしいヒップアタックじゃあ、魔物にダメージはないだろ。
200くらいのダメージはあるけど、あれを食らってもオレなら嬉しいだけだな。
「姉様のおっぱいだって、そのうち掴めるくらいにはなるわ!」
「そのうちっていつだよ! しかも揉めるくらいの大きさにはならないのか!?」
励ましになってないな。
泣き出してしまったアリス先生は心配だけど、お湯がなくなったので風邪を引かないかのほうが心配だ。
とりあえず、風呂にお湯を入れ直して、みんなで温まりながら慰めた。




