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いったん帰還する

 作戦の細かい打ち合わせをする。

 今回の作戦はタイミングが重要だ。

 オレが砦に仕掛けるタイミングが早くても遅くても、今後の戦争に支障がある損害が出るかもしれない。


 早すぎれば、引き返してくる帝国軍にオレがやられてしまうかもしれない。

 遅すぎれば、砦が襲撃されたことを知るのが遅れて、帝国軍が引き返すのが遅くなる。

 そうなれば、味方の砦に攻撃される時間が長くなり、被害が大きくなる。


 タイミングを間違えないためにも、敵の位置を把握することと、早すぎず遅すぎないタイミングで、敵の伝令を見逃さなければならない。

 伝令が行かなければ、砦の襲撃に本隊が気付かないから、引き返して来なくなる。

 たぶん7~8時間くらいは伝令を行かせないようにしないと、飛行円盤を使われたら、すぐに本隊が引き返してしまうだろう。



 打ち合わせが終わったので、オレは砦を出る。

 スピードを抑えて飛んでいると、アサルトイーグルという魔物に襲われて、空中戦をするはめになった。

 翼を広げると10mくらいの大きさになる魔物で、かなり凶暴な魔物だ。

 猛スピードで降下しながら、強靭な足で獲物を捕らえる。

 獲物の動きを止めたら、鋼よりも硬いクチバシで食い散らかすので、飛べない人間からすれば厄介極まりない魔物だ。

 降下する時の速度は音速近いらしいから、オレも油断はできない。

 魔力が強い種族なので、個体によっては音速で急降下する奴もいて、魔物図鑑に記録されていた。


 風切り音が聞こえた瞬間には、オレの横をかすめて飛んでいた。

 速い。反応できなかったぞ。

 オレの頬から血が垂れて、服を汚す。またアリス先生に怒られるじゃないか。


 しかし、急降下の速度には反応できないな。なら、上を取るしかないな。

 上昇は降下と違って遅いから、簡単に上を取れるだろう。

 アサルトイーグルが再び急降下してくる前に、オレは奴の上を取るべく急上昇した。

 いきなり標的を失ったアサルトイーグルは、一瞬だけ動きを止める。

 上昇しようと羽ばたいたのを狙って、煌力弾を撃った。

 根元から翼を吹き飛ばされ、アサルトイーグルは落ちていく。

 すぐに追い掛け、胴体の部分に急降下キックをお見舞いした。

 落下スピードが上がり、地面に激突したアサルトイーグルは、ピクピク痙攣して動かなくなった。

 死骸をしまい、今度はスピードを出して飛んだ。また襲われたら面倒だしな。



 王都に帰ってギルドに報告をする。

 別の仕事を見てみるが、時間が時間なのでロクな仕事がない。

 王都には冒険者も多いので、夕方になると根こそぎ無くなる。

 残った依頼は、新人冒険者にとって割のいい依頼くらいだ。

 冒険者は優しい人が多いので、新人でもベテランパーティーに入れてくれたりする。新人教育にも熱心だ。


 友人同士で組む新人用の依頼といった感じで、ベテランパーティーに入れて貰った新人は、こうした依頼は請けない。

 冒険者ギルドが依頼者なので、失敗してもペナルティーがないので、新人の生命線になってるらしい。

 オレは最初からそこそこ強かったので、普通の依頼を請けていたが、本来ならギルドが用意した依頼を請けて練習するらしい。



 チラホラと仕事から帰って来た冒険者に、挨拶と情報を交わして城に帰る。

 帰る前に、頬の傷を治しておかないとな。

 城に到着したら、すぐにレイラが入り口まで迎えに来た。


「お帰りなさいませ、ユートさま。お洋服が汚れていますが、怪我をされたのですか?」


 やっぱりレイラは普段の話し方のほうがいいな。

 城の人間が見てると、メイドに徹する必要があるのは理解できなくはないけど。


「これは返り血だ。オレが簡単に怪我をするわけないだろう?」


 心配させたくなくて誤魔化す。

 簡単じゃない相手だったし、簡単な相手に怪我をさせられたりはしないので、完全な嘘ではない。


「……では、血の汚れを落としておきますから、部屋に帰ったら脱いで下さいね?」


 オレが怪我をしていないかを確認して、レイラは安心したように笑顔で言った。


「ユートさま。お食事は済ませましたか?」


「そういえば朝に食べてから、食べるのを忘れてたな」


「それでは、すぐに用意いたしましょうか? それともアリスさまたちとご一緒になさいますか?」


 アリス先生たちは、まだ魔物退治から帰ってないようだ。

 フィーリアが一緒に行ったらしいので、戦闘に関しては心配はないだろう。


「腹が減ってることに、いま気付いたくらいだからな、待つよ」


「それでは、先にご入浴されては?」


「そうしよう。準備を頼むな」


 レイラは頷き、部屋に付いている風呂を準備しに戻る。

 そのあとを付いて行くオレに、兵士やメイドがお辞儀をしてくれる。VIPみたいな扱いだ。

 レイラはお辞儀を返さない。何でか聞いたら、オレに頭を下げたので、レイラが返すと、レイラに対して頭を下げたことになってしまうそうだ。礼儀は難しいな。

 部屋に到着したら、レイラは風呂場に向かって、すぐに戻って来た。


 風呂のお湯が満ちるまで、レイラはオレの世話をしていた。

 服を脱がされ、新しい服を着せられる。

 家では自分でさせてくれるのに、城では自分でやらせてくれない。メイドのプライドが満たされているのか、ニコニコしている。

 ちなみに、結衣は自分で着替えるが、アリス先生は朝寝坊をして着替えさせて貰っている。

 着替えが見放題なので嬉しいかといえば、色気よりも可愛さが上なので、興奮よりもホッコリする。


 紅茶を飲んで考えごとをしている間に、風呂場でオレの服を洗い終わったレイラが、見事に真っ白になった服をバルコニーに干していた。

 相変わらずメイドって凄いな。魔法よりメイドのほうが不思議だ。


「ユートさま~、お風呂が用意できました~」


 レイラの動きって無駄がないんだよな。武術を習えば強くなりそうなのに。

 オレはソファーから立ち上がり、風呂場に向かう。

 レイラがタオルを巻いただけの格好で待っていた。ほんとに無駄がないな。

 せっかくなので一緒に入浴して、お互いの体を洗った。

 アリス先生の体は可愛らしさが上だけど、レイラの体は色気が上なので少し照れた。

 レイラは以前に側室になるようなごとを言っていたし、ここまでするからには本気だろう。レイラのことも考えないとな。

 もちろん嫌いではないけど、アリス先生のこともあるので悩ましい。


 日本では想像もしなかった一夫多妻制に頭を悩ませていると、アリス先生たちが帰って来たのか、風呂の外が騒がしくなった。

 水音が聞こえたのか、アリス先生たちも風呂場に入ってきた。


「あっ! 勇人も帰ってたのか! ……まあいいや、汗掻いたから一緒に入るぞ?」


「少しだけ、はしたないけど、未来の旦那様だしね!」


 たぶんオレの服を脱衣所で見付けたんだろう。

 オレが入っているのに気付いているが、脱衣所でゴソゴソ服を脱いでいるようだ。


「汗でベトベトして脱ぎにくいよ~」


「脱がしてあげるよ?」


「リアお姉ちゃん、ありがとう!」


 女の子の裸は嬉しいんだけど、恥じらいがあるともっと嬉しいんだよな。

 男は女の子の恥ずかしがる姿に色気を感じるのに。

 たんなる裸でも色気は感じるけどね。


「今日はいっぱい戦ったから疲れたきゃぁぁぁぁぁ」


 ドアを開けて勢いよく飛び込むアリス先生。

 濡れた床に滑って、えらいこっちゃなポーズでオレの目の前に滑ってきた。

 アリス先生はいろいろツルツルだな。目の前にあるのでよく見える。


「いたたっ。腰を打った~。レイラ、腰を揉んでくれ~」


 四つん這いになって腰をさする。

 なんかもう、いろいろ丸見えだな~。


「姉様! 隠して!」


「何をだ? ……ん? ぎゃああぁぁぁぁ! 見るな! 見るなら生えてからにしてくれ!」


 混乱して騒ぐアリス先生の体を、女の子たちが隠しているが、今度はマリーナたちが丸見えだよ。


「アリスたちは何を騒いでるの?」


 そんな中でも、フィーリアは首を傾げてマイペースだった。

 フィーリアは生えてなくても恥ずかしくないらしい。

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