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今度はオレが試す番

 治療が終わると休憩を入れる。

 怪我は軽かったが体力の消耗が激しい。多少なり血も流しているので、軽く食事を摂った。


「まさかスライム相手に全力で戦うことになるなんて……」


「あのスライムは魔法で戦うほうがラクだろうな。剣士とは相性が悪すぎる」


 落ち込むマリーナを慰めて言っているわけじゃなく、相性が悪い相手だと苦戦する。

 アリス先生なら簡単に倒せるだろうが、マリーナとアリス先生が戦えばマリーナが勝つだろう。戦いの相性なんてそんなものだし。


「スライムって見た目じゃ判らないけど、冒険者ギルドはどうやって確認するんだ?」


「何でも、組成は違うみたいですよ。見た目は変わらないけど」


 ちゃんと調べれば判るらしい。

 水の中に塩が入っていても判らないけど、調べたり飲んだりすれば判るのと同じだ。

 スライムを調べる方法はいくつかあるらしい。


「すごかったね~、マリーナお姉ちゃん」


「……うん」


 フィーリアが気を使っているな。

 エルフなだけあって、マリーナの5倍近い魔力があるから、意外に攻撃力は高いんだよな。

 フィーリアなら回避力からいっても楽勝だろうな。

 耳を切られて見た目は人間だから、魔力の高さを予想しにくいだろう。

 いろんな意味で油断を誘うので、暗殺者としては理にかなっている。

 悪党に知恵が働くと厄介だ。むかつく貴族だな。処刑されてなければオレが殺してるところだ。




 マリーナの体力が回復したので、スラッシュスライム捜しを再開する。

 次はオレが戦ってみる番だ。弾力のあるスライムに、オレの通常攻撃が効くのか確かめたい。

 まず出会ったのは普通のスライムだった。

 やはり弾力があり、殴っても吹き飛ぶだけだった。

 スライムが軽すぎるので、衝撃が核に伝わる前に吹き飛んでしまう。

 もっと速い攻撃じゃないと、拳で核を破壊するのは無理みたいだな。


「すごい飛んだな~。ただのパンチなのにな~」


「旦那様の格闘能力が高いからだわ! 普通にスライムを殴っても、グニってなるだけだもん」


「うん……完璧なパンチだったよ。腕の振りも踏み込みも、腰の捻りに連動して、エネルギーをムダにしてないよ。命中の瞬間に拳で抉るように殴ってたし、普通の人間なら内臓破裂してるよ?」


「リアお姉ちゃんの説明こわい……」


 確かに物騒な説明をせんでいい。


「皆さま~、スライムが近付いて来ましたよ?」


「勇人が武器を持ってないからだな!」


 スライムは危険がなさそうだと、考えなしに近付いて来るな。

 次は地面で挟むように核を殴ってみるか。

 ウニウニと近付いて来るスライムに、瓦を割るように上から殴り付ける。

 核が逃げるようにズレた。グニグニしてるから、遅い攻撃じゃ核に当たらないな。

 次は最高速度のパンチで、核を叩き潰す。

 ……ダメだった。弾力が有りすぎる。ただのパンチでスライムを倒すことは不可能だな。


 オレは身体強化するために煌力を集めた。

 次は身体強化した普通のパンチが効くのかを試そう。


「せいっ!」


 跳び掛かってきたスライムに、全力のパンチをお見舞いする。

 衝撃で吹き飛ぶ前に、スライムの粘体を貫き、核を砕いた。

 身体強化すれば問題なく倒せるな。スライム相手に必殺技は必要ないみたいだ。

 あとは体を硬化できるスラッシュスライムで試してみよう。

 さすがにマリーナの攻撃に耐えるような体を、身体強化せずに破壊できるとは思えないから、最初から身体強化で戦うつもりだ。



 しばらくは、いろんなスライムを殴り倒すはめになり、20体目くらいで、ようやくスラッシュスライムに会えた。

 スライムの反応はいっぱいあるのに、スライムの特定ができないから時間が掛かる。もうこの仕事やだ。


「結衣疲れた……」


「アタシも観戦するテンションはないぞ」


 フィーリア以外の小さい子たちは、さすがに歩き疲れたか。

 フィーリアは疲れてる様子はないが、限界が判らなくて逆に心配になるよ。

 過酷な暗殺者生活のせいか、このくらいは平気なのかも。


「私は旦那様を見てるから、頑張ってね?」


「私は護衛してるから……ちょっぴりだけ見るよ?」


 近接戦闘が得意な2人は余裕そうだが、この戦いが終わったら、オレ1人で捜し回るか。オレも1人のほうが速く動けるし。面倒な仕事は早く終わらせたい。


「ユートさま~、水分補給してからにしてくださいね」


「ありがとう、確かに喉が渇いてるからな」


 集中すると半日くらい水を飲むのを忘れたりするから、よく気が付くレイラには助けられる。

 水筒ではなく、ちゃんとコップに入れて渡してくれる。ついでに果汁を少し混ぜているようで、香りがいい。

 結衣とアリス先生が欲しがるのを見越して、全員の分を用意しているのがレイラらしい。


「それじゃあ行ってくる」


「気をつけるんだそ?」


「分かってます、任せてください」


 そう返してからスライムに向かって走り出す。

 すぐに触手を伸ばして攻撃してきた。

 やはり他のスライムより遥かに強い。討伐依頼になるわけだ。

 こんなスライムが増え続けたら、森になんか入れなくなりそうだからな。

 スラッシュスライムには特に利用方法があるわけじゃないから、全滅させて欲しいのが本音だろうな。討伐数は5匹でいいんだけど。


 なかなか鋭い攻撃だけど、マリーナとの戦いを見てるから躱すのは簡単だ。

 できることも大体は把握してるし、油断さえしなければ不意を突かれることはないだろう。

 徐々にスライムに接近して、間合いに入った瞬間にスピードを上げて奇襲した。

 オレの攻撃がヒットするが、硬化していないようで衝撃が吸収された。

 一瞬で硬化を解いたらしい。打撃には軟らかいほうが耐えやすいと判っているのか。


 オレの首を狙ってきた触手を仰け反って躱し、その反動を利用して蹴り上げる。

 硬化していた触手は簡単に砕けた。オレはすぐに本体を攻撃をするが、普通のスライムと違って核に攻撃しずらい。

 触手で邪魔をされてしまい、核に当てるためには腕を斬られる覚悟がいるな。


「やっぱり強いですね。遠距離からのほうが相性がいい」


 距離を取ってアリス先生に伝える。


「アタシの出番か?」


「いえいえ、オレも遠距離攻撃はありますから、アリス先生はまた今度で」


 そう言ったオレは、アリス先生の返事を待たずに駆け出した。

 スライムの伸ばしてくる複数の触手を(さば)きながら本体に近付く。

 本体に攻撃できる距離に入ったら、触手を全て破壊した。

 遠くから1本ずつ破壊すると、すぐに次の触手を生やして攻撃してくるので、近付いてから一瞬で全て破壊したほうがいい。


 再び触手を伸ばしてくる前に、核に連続でパンチを打つと、核をずらしても数打てば当たるのだ。

 硬化を解いて受けたが、連続で放ったパンチの一発が核に命中して破壊した。

 動かなくなったスライムをしまい、みんなの所に戻った。


「案外早く倒したな~。マリーナは時間が掛かったのに」


「ちょっと姉様! 私だって次に戦う時は、もっと早く勝てるわ!」


「勇人は試してたみたいだし、次はもっと早いんじゃないか?」


 アリス先生の言葉に反論できないのか、マリーナは黙り込む。


「勇人と競う必要はないだろ? マリーナだって倒せる相手だって判ってるんだからな。焦らなくても勇人の足手まといにはならないって」


 マリーナはオレと並んで戦いたいと言っていたからな。

 オレとの実力差に焦って危ないことをしないように、アリス先生が釘を刺してるんだろう。



 オレたちは夜営をして次の日に備える。

 戦うよりも見つけるのに時間が掛かってしまったので、数日掛けて仕事をすることにした。

 みんな疲れていたので早めに寝ることにして、ベッドに入った。

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