新たな仲間はエルフさん
「えーと、悪い」
いきなりヘビーな話を聞いてしまったので動揺したが、仲間にするなら気をつけないと。
よく見たら傷跡があった。たぶん形を整えて切られたんだろう。そのせいで分かりにくい。
「? なぜ謝るのですか?」
首をコテンと倒して不思議がる。
「なぜって、嫌なことを聞いたからだ」
「私の耳が他のエルフと違いますから、気にするのは当然では?」
この娘は困ったような顔か、不思議そうな顔しかしないな。
暗殺者を続けていたせいで、一般的な感覚とズレてるのかもな。
「私はフィーリアです。買ってくれますか?」
また首をコテンと傾げて聞いてくる。
マイペースだな。
凶暴そうな気配もないし、見た目は10歳くらいだけど200歳超えてるし、結衣の条件を一応は満たしてる。
性格の面でもレイラの条件は大丈夫そうだ。
隙もないな。オレが試そうとすると、重心が変わって避けられる体勢を取っている。
オレは動いてないのに、察知してるから腕は良さそうだ。
オレの条件も満たしているだろうな。
おっぱいはアリス先生と比べて…………びみょ~だな。
どっちもどっちな気がするな。真っ平らだから比べようがない。
僅かでも大きければ、アリス先生はショックを受けるぞ。あの人はそういう所は大人げない人だ。
まあ、アリス先生が文句を言ってきたら、補正ブラでも贈ろう。それで誤魔化すしかないよな。
「フィーリア、オレたちの仲間になってくれるか?」
オレはフィーリアの意思を確認する。
「仲間……奴隷ですが、買って貰えるなら一生懸命働きます」
別に身を粉にして働く必要はないけど。
「フィーリア、うちには子供がいるから、奴隷とか元暗殺者ってのは秘密でな。教育に悪そうなワードだ」
「任務は理解しました」
任務ではないんだが。
まずは常識から教えたほうがいいのか?
なんにせよ、一般的な感覚が身に付くようにしないとボロが出そうだ。
「ゆーとお兄ちゃん、がんばるね?」
コテンと首を傾げる。
眉毛はは困ったような形だし、目はボーッとしてるが、声は可愛いな。
「いきなりどうしたんだ?」
「子供のふりです。これで暗殺をしていました」
「物騒だな! オレがターゲットみたいになるだろ!」
奴隷や暗殺者ということを隠すように言ったからだろうけど、なんかやだ。
これほど嬉しくないお兄ちゃんは他にないな。
「まあいいや。よろしくな」
手を差し出すと、ボーッと見つめ、コテンと首を傾げる。
「前の主人は穢れるから触るなと命令しました。何百人も暗殺した手ですが、触ってもいいのですか?」
「オレなんか真正面から殴り殺してるぞ?」
盗賊だけど。
「何万という命を奪ったから英雄って呼ばれてるんだ」
殺したのはゴブリンだけど。
「どのみち生き物は命を奪って生きてるのが多いんだ。暗殺者は辞めたんだし気にするな」
ボーッとした、カマボコを逆さにしたみたいな、感情の判りにくい半眼でオレを見つめ、恐る恐るちょんとつついてきた。
ずっと他人に触らないようにしてきたのか?
「ふぅ~、頑張りました」
相変わらずのボーッとした半眼だが、何となく得意げだ。
変な娘が仲間になったな。200歳超えてるとは思えんけど。見た目も性格も。
「話は纏まったようですな。ご購入ということでよろしいでしょうか?」
「お願いします」
人を買うのは気分のいいものではないけど、この世界のルールに文句を言っても仕方ない。
「かしこまりました。手続きをお願い致します」
奴隷は登録制だから、主人になったという申請をしないといけない。
手続きに必要な書類を書いて、役所に提出するらしい。
申請書は奴隷商が出しておいてくれるそうだ。
3枚の書類に、オレと奴隷商のサインと拇印が捺され、1枚は役所に出す。
お互いに売り買いした証明書を持っておくらしいので、なくさないように指輪にしまった。
代金は安かった。売れ残りだからか、オレに気を使ったのかは知らないが、相場より安いのは確かだ。
手続きも終わったし帰るか。まずは服とか必要な物を買わないと。
今日は遅いし、宿に泊まって明日帰ろう。
奴隷商館から出ると、夜になっていた。
フィーリアは明かりを避けるように付いてくる。
「フィーリア、明るい所を歩けって」
「ついクセで人目に付かないように歩いてしまいました」
前途多難だ。
結衣たちには変わった娘と紹介するしかないな。
「あと話し方は気楽にしていいからな」
「…………では2人きりの時はいつも通りに話します。人が聞いている時には元暗殺者だとバレないように振る舞います。任務はいつから始めますか?」
だからそれがダメなんだが。
任務とかは忘れて欲しい。
暗殺者らしい動きは普段はしないように言い聞かせて店に急ぐ。閉まる前に買いたい。
ペタペタと足音が付いてくる。
「不気味な足音が後ろから付いて来るのは落ち着かないから、抱っこしよう」
靴も履いてないし、裸足で歩かせるのも気分が悪い。
「私は抱っこされたことがありません。やり方を教えてください」
またコテンと首を傾げる。クセなのか? あるいは暗殺手段として、子供っぽい仕草が染みついてるのかも。
とことん重い話だな。どこに地雷があるか判らん。
「オレがするんだから大丈夫だよ。フィーリアは抱っこしやすいようにバンザイしてればいい」
言われた通りにバンザイをする。見た目が10歳くらいなので可愛らしい。
確かに奴隷商の言ってたように、素直な娘だな。
エルフだとまだ子供扱いの年齢だろうし、子供扱いしていても別に大丈夫なはず。
「よっ……軽いな」
「食事は1日1回ですし、任務がいつあるか判らなかったので携帯食ばかりでした。太ると狭い場所から浸入できませんし」
普通の女の子は軽いと言っても大丈夫だろうけど、フィーリアの場合は地雷だった。
バンザイをしたまま抱っこされているフィーリアに、首に腕を回すように言う。
「首を絞めるのですか?」
「違うぞ。首に腕を回したほうがラクだから、ようはバンザイしたままじゃなく、ラクな姿勢になるように言ってるんだ」
「任務は理解しました」
だから任務はやめてくれ。
言われた通りに腕を回す。
恐る恐るなのは相変わらずだったが、少しは他人に触るのを慣れて貰わないとな。
「これはラクです。新しい発見をしました。人にしがみつくとラクになります」
オレのほうが半眼になりそうだ。
いつもの困ったような眉根を寄せた顔で喜ぶフィーリアは、ボーッとしたような半眼で周りをキョロキョロ見渡す。
高い位置が新鮮なのかな?
「周囲に危険性はありません。安心してください」
ただの安全確認だった。
「身動きができない時は安全確認は必要です」
まあいいか。街中だから心配はないけど、用心はしても損はない。
それにしてもボロい服だな。一応は犯罪奴隷なので扱いが悪いのか?
処刑されなかっただけ温情か?
「私の体は臭いですか? お風呂には入ったことがないので、体を拭いただけだと汚れは落ちにくいですし」
汚れた服を見ていたら勘違いしたようだ。
「臭くはないぞ。服がボロいから早く買おうと思っただけだ」
「なるほど、任務に必要です」
「生活に必要なんだよ」
一般常識を少しずつ教えながら、店に到着した。
「これなんか可愛いんじゃないか? 値段の高い服だし、たぶん良い服だろ。知らんけど」
「高い服だと目立ちます。任務に支障が」
任務はいいから、可愛い服を着せよう。
せっかくだし、みんなの分の服も買っていくか。
「下着は可愛さより動き易いほうがいいです」
ドロワーズはダメだ。そんなの穿かせたら女性陣にセンスを疑われる。
「何でもかんでも可愛いのを身に付けたほうがいいさ」
「主人の意向には従いますが、可愛いパンツが好きですか?」
それはノーコメントで。
あーだこーだ言いながら、2人で服と靴を選んでいった。
読者を増やすには、どうすればいいんでしょうか?
ユニーク数を見る限り、新しい読者は十数人くらいしかいないようなんで、見てくれる人が増えて欲しいんですよね。
アドバイスをくれる人はありがたいです。




