アリス先生とマリーナのタッグマッチ
勇人が引きずり出すのに成功したぞ。あとはアタシの出番だな!
それにしても勇人のやつ、あんなに高く飛ぶなんて、落ちたら危ないじゃんか!
いつも心配ばかりかけて~、男ってやつはこれだから世話がかかるんだ。
「姉様、このツタは旦那様ばかり狙ってるわよ! 早く攻撃しよ!」
そうだった。アタシの攻撃魔法で早く倒さないと勇人の力が尽きちゃうよ!
「ブリザード!」
アタシの手の先から吹雪が出た。少しイメージより弱い気がするな~。
もっと気合いを入れて撃とう。倍くらいの魔力を込めてみる。
お~、辺り一面真っ白になっちゃったぞ。あの気持ち悪い食虫植物みたいなやつも、動きが鈍くなったな~。
「姉様さむい~……きゃあ」
「うわっ……びっくりした~」
いきなりマリーナが後ろに跳んだと思ったら、目の前を緑色の物が通り過ぎていった。
いきなり速く動くから、首がグキッってなっちゃったじゃないか~。
「マリーナ、乱暴に動くなよ~」
「しょうがないでしょ!? あれ見てよ!」
ツタを避けながら視線を向けるマリーナにつられて見ると、ツタが当たったらしき岩が砕けていた。
うわ~、当たったらアタシの体なんかボロボロになりそうだな~。
ブリザードで動きが鈍くなってるのに、なんつー力だよ。
勇人はあんなのに掴まれてたけど、大丈夫なんだろな~。
「姉様、このツタしつこい! 斬っていい?」
「バカ! アタシが本体を倒すから頑張って避けろ!」
「だって鬱陶しいんだもん!」
確かに怒り狂ったみたいにツタを振り回してるな~。
ツタが当たるたびに地面や岩や木が粉々になってるぞ。
急いで攻撃しないとダメなんだけど、動き回るから狙いが付けられないんだよ。
「ウインドカッター! ……あっ、また外れた」
「姉様の下手! ロリっ娘詐欺!」
「詐欺ってなんだ! アタシは合法ロリだ! ……ロリじゃないし!」
つい言ってしまったけど、詐欺よりマシだと思ってしまった。
でもアタシは大人だぞ! ブラだって着けてるんだからな!
「姉様、早く当てて! 雪で足場も悪いし、いつまでも避けられないわ!」
「わかってる! 敵の技を試してみるから!」
あのテロリストが使ってたビームを操るみたいなやつを練習してたんだ。
アイツみたいに、何十本も操るのは無理だったけど、1本だけなら少しだけ操れる。
実戦で試したことがないのが不安だな~。敵も遅いけど動いてるし、こっちも動いてるから当たるかな?
「とにかく撃つぞ! ホーミングレイ!」
アタシの手から出た光の弾が、ツタを避けて本体に飛ぶ。
アイツが使ってた光線みたいなのだとイメージが悪いから弾にした。こっちのほうが操りやすいし。
「う~~~」
集中して操作するけど、大きく逸れていった。
慌てて操作すると、カーブを描いて敵に向かう。
「当たった! 姉様、当たったよ!」
「当たったけど死んでないぞ? 威力が弱かったかな?」
「でもツタの攻撃が緩くなったわ! これで近付けそう!」
ツタの攻撃を器用に避けながら、マリーナが魔物との距離を詰めていく。
これだけ近いなら当たるかも! 早く魔力を溜めないと。
「姉様、近付けるのはここまで! あとはお願い!」
マリーナが叫びながら攻撃を避ける。耳元に風を切る音が聞こえるのがヤダな~。
「ひえっ……攻撃こわい、魔物の見た目もこわいぞ!」
近いからよく見える。アタシの魔法で開いた穴から変な液体が出てて気持ち悪いな~。
凄く怖い見た目だから、早く倒そう。一撃で倒してやるからな!
「マリーナ、少し下がってくれ! ストーンエッジ!」
マリーナが下がると魔法を放つ。
魔物の周りの地面から、何十本もの土の刃が飛び出して、6mくらいの巨体をズタズタに斬り刻んだ。
この魔法は威力が大きいけど、アタシの制御力だと射程が短い。
魔力を自分の体から離して土を操るから、今のアタシじゃ3mくらいまで近付かないと。
おまけに範囲が広いから、魔力を敵の周りの地面に流してから、少し離れないと自分まで巻き込まれちゃうんだよな~。
「やったわ! 私たちで上位の魔物を倒せた!」
「アタシはヌイグルミじゃないぞ? 抱き締めるなよな~、胸当てが痛いし」
マリーナは金属の鎧を装備してるから柔らかくない。
胸当てがなくてもオッパイはそんなに大きくないから柔かくないけどな!
アタシよりお尻はムッチリしてエロいけど…………くそ~16歳のくせに~。
「なんで胸当てを叩くの?」
「べつに!」
「何を怒ってるのよ、姉様? 抱き締めたのが痛かった?」
ちょっとした嫉妬だ! 言わないけどな!
「お疲れ、2人とも」
「うわっ、びっくりした!」
急に空から勇人が降ってきた。
「旦那様、見てくれた? 私の華麗な回避」
マリーナが勇人に抱き付く。
勇人にだけは素直だな~。
27歳のアタシには素直に甘えるのは無理だな。
「見えはしなかったけど、動きは判ったぞ。あの猛攻を凌ぎきったのは凄いじゃないか」
「そうでしょ?! 頑張ったんだから、もっと褒めてもいいわよ?」
苦笑しながらも、マリーナの頭を撫でる。
なんかモヤモヤするな~。倒したのはアタシだぞ?
「旦那様、旦那様、姉様が腰に手を当てて不満そうに見上げてるわよ? 褒めて欲しいんじゃない?」
「……別に褒めて欲しいわけじゃないぞ、大人だからな!」
そうは言いつつ、期待はしてる気もする。
別に近付いたのは撫でて欲しいからじゃないぞ! アタシも頑張ったのに、マリーナだけ褒めるのは不平等だからだ。
「先生も苦手な魔法の制御を頑張りましたね。確実に強くなってますよ」
そうだろ? アタシだって毎日練習してるからな。
「どや顔の先生も可愛いですね」
「うわっ、抱っこはやめろ~! アタシの扱いが結衣ちゃんなみだぞ!」
文句は言うけど、逞しい勇人に抱っこされると、凄く安心する。やっぱり戦いは怖いし。
こいつ、細身なのに鋼みたいな筋肉だからな。鍛えすぎだよな。
「結衣も抱っこ~!」
ん? 結衣ちゃんの声が近いな。
そう思って振り向いたら、結衣ちゃんが飛び込んで来ていた。
「ぎゃぁぁぁぁぁ」
乙女にあるまじき声が出ちゃったじゃんか!
結衣ちゃんに吹っ飛ばされたアタシは、ゴロゴロと転がってしまった。あちこち痛い。
「アリスさま~、クマさんの下着が丸見えですよ~」
「っ~~~~、見るな~~~! 見ないでくれ~。サイズが合うやつが少なくて、今日はたまたま子供っぽいのを穿いてるだけなんだよ!」
なんでよりにもよってバックプリントのパンツを穿いてる時に~。
しかも、どうせ人がいないしと思ってショートパンツを穿いてなかったんだよ。
めんどくさがらずに穿けばよかった。女子力とかいうワケわからないものが足りないのか?
「アリスお姉ちゃん、ごめんなさい……」
結衣ちゃんがしょんぼりしてる!
「大丈夫だぞ? アタシは魔力が強いから頑丈なんだ!」
「ほんと? 痛くなかった?」
ちょっと痛いけど、子供パンツを見られたダメージのほうが大きいしな!
「大丈夫大丈夫、パンツのことさえスルーしてくれたらアタシは平気だ!」
「可愛いらしいじゃないですか~、ねえユートさま?」
だから勇人に聞くなよ! レイラのやつ~!
「似合ってるから大丈夫ですよ」
それはそれで傷付くな。
アタシの体が発育不良なのは解ってるけど……もう成長も期待はしてないけど、大人っぽいパンツが似合いますよくらい言ってくれよう。
いや! ここは前向きに似合ってるだけマシだと思おう。サイズが合わなくて子供っぽいの穿いてるのに、似合わなければ余計にキツい。
見た目が若くて、この場合は助かったと思うことにしよう。
何となく救われた気分になったアタシは、いい気分で夜営の準備を始めた。
まだ数が足りないし、今日は消耗が激しいから、また明日から頑張ろう。
次はもっと簡単に倒してやるからな! 見てろよ勇人! 子供パンツのことを忘れるくらいの活躍を見せてやる。




