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旅行

 盗賊たちが領都カレイラに護送されるので、オレたちも一緒にカレイラに戻る。

 オレたちが護送に加わった時点で、盗賊たちの目は虚ろになったので、特に逃げられたりすることもなくカレイラに到着した。


 盗賊たちを引き渡す時に、アッカー伯爵から非常に感謝され、伯爵の屋敷に部屋を用意された。

 依頼を請けたわけではなかったけど、伯爵は護送の報酬も払ってくれた。

 さっそく盗賊たちの尋問が行われて、何人かは口を割ったらしい。


 その情報の裏付けを取ってから、確定すれば1億5000万シリンの報酬が払われるそうだ。

 懸賞金のほうは王都スケイルレーセの都庁舎で確認して払われるらしいけど、伯爵が立て替えて払ってくれるそうだ。


 オレが赤き斧を潰したことが、大々的に発表されて、伯爵から勲章を貰った。

 冒険者ギルドでも戦闘ランクを上げて貰い、ちょっとしたパーティーを開いてくれた。


 カレイラで2週間ほど過ごしていたら、伯爵から連絡があり、情報が確定したので報酬の受け取りに来て欲しいと呼ばれた。


 報酬と懸賞金を合わせて、2億8000万シリン貰った。

 盗賊団は貴族の一部と繋がりが有ったらしく、人質に取られていた人たちは、政敵だったらしい。

 盗賊が奪った物を買い取っていたのも、その貴族たちだった。


 人質も資材と一緒に引き渡され、政治利用されるはずだったが、大失敗したので立場がなくなり、王によって家が取り潰されて当主と家族は処刑される。


 王は国に(あだ)なす悪徳貴族を成敗できたし、伯爵や他の貴族は政敵が消えて喜んだらしい。

 ただの盗賊退治が国を騒がすエライ事態になったな~。





「この2週間で凄くゴタゴタしたな~。アタシは当分、仕事を休みたいぞ?」


 呼ばれたり勲章を貰ったり、パーティーに参加したり少し大きめの地震が有ったりして疲れたな。

 仕事もして採取ランクが1つ上がったし、オレも働きたくない。


「特にレイラは毎日のように家事をしてるし、休みを強制的に取らせたいですから、全員で旅行に行きましょう」


 オレはアリス先生に旅行の相談を持ち掛けた。


「いいな! 伯爵さんの屋敷なのにレイラはお世話してくれるし、気になってたんだよ」


 それにレイラは畏まった場所だと、いつものノンビリした口調じゃなくなって、結衣も変な顔をして見てるしな。

 こういった場所だと、レイラにとっては窮屈になるし、休もうとしないんだよな。

 伯爵はレイラも客人として扱っているのに、レイラ自身が客人のつもりがない。


「とりあえず報酬は貰ったしさ、旅行がてら屋敷を出てこう!」


 アリス先生が立ち上がって走り出した。


「みんなを呼んで来るから待ってろ!」


 ア○レちゃんみたいな勢いで走って行ったな。

 行き先はみんなで決めるとして、オレは機煌都市マキナに行きたいな。

 煌力の勉強にもなるし、結衣が好きなテレビも、そこで放送されているしな。

 王都にも放送局はあるけど、機材なんかの関係でマキナの放送局のほうが大きい。

 それに、煌力製品も開発されているし、買って帰れば屋敷を買った時にレイラの仕事もラクなる。


 王都では煌力製品の工場や研究所はない。安全面を考えて王都から離して作ったら、そこに街ができたのが始まりらしい。

 商人も多く訪れているらしいけど、煌力製品は大きいのも多くて、他の街まで大量に輸送できない。

 だから値段も高くなるし、あまり大きい製品は出回らないので絶対買う。


 報酬も貰ったし、盗賊の財宝も伯爵に買って貰った。資材はオレが運んだし、貴族が奪われた物も伯爵に売った。

 貴族の持ち物は先祖伝来の物もあるので、買い取った伯爵は持ち主の貴族に恩も売れると小躍りしていた。

 しきりに娘を勧められたのは、貴族のお家芸みたいな物と諦めている。

 最近は伯爵の屋敷にいるせいか、貴族関係者に挨拶されることも慣れてきた。


 ゴブリンロードの事件は、ヴォールディア帝国の仕業ではないかと言われていて、戦争の影が近付いて来ている。

 だからか、軍隊を纏めて蹴散らせる力を持つオレを取り込みたい貴族が多いそうだ。伯爵は正直者だな。


 帝国には四竜将(しりゅうしょう)という1人で上級竜を倒せる人がいるそうだ。

 皇帝はその力で領土を拡大してきたらしく、帝国に恨みを持つ国や人はいっぱい居ると教えて貰った。

 帝国の皇都はメチャクチャ巨大で、人口は500万人くらいと、この国の王都の4倍以上らしい。


 20分くらい考え事をしてる間に、アリス先生が全員を連れて戻ってきた。

 その間に旅行の説明をしていたらしく、結衣が大喜びで首に飛び付いた。


「叔父ちゃん、ありがとう! 遊びに連れてってくれるんだよね?」


「まあ旅行だからな。遊びは遊びだ」


 結衣も旅行には賛成なようだ。


「どこに旅行に行くの? 私の実家は騎士になれる手柄を手に入れるまでイヤよ?」


 マリーナの実家は隣国じゃないか。休もうとしてるのに疲れそうだ。


「アタシも国を移動するのはヤダぞ?」


「アリス姉様は面倒くさいだけでしょ?」


「そうだけどさ、交通機関が発達してないからキツいんだよ~」


 2人がアレコレ言い合っていると、レイラがお茶を用意してくれて、2人も飲むのに集中した。

 いつの間にか働いてるんだよな、レイラって。レイラの実家にも寄って行くか?


「レイラの実家って、どこの村だ?」


「えっ! ユートさま? 私の村には遊べるような所はないですよ~?」


 エンターテイメント性の溢れる村が有ったら、たぶん街に進化してると思う。


「オレは機煌都市マキナに行きたいんだけどな、レイラの帰省もさせとこうと思ってな」


 機煌都市マキナに行きたい理由と、レイラの実家に寄りたい理由を告げたら、みんな賛成してくれた。


「ユートさまのパワーアップのついでなら~、ありがたく帰省させて貰いますね~」


 メインだと嫌なんだ。


「結衣ね結衣ね、ルイーズちゃんに会いたいの!」


 ルイーズちゃんって誰だよ?


「ルイーズ・リドルさんですね~? アイドルですよ~」


 疑問が顔に出ていたのか、レイラが教えてくれた。

 そういえば可愛い女の子をテレビで熱心に見てたな。


「お金もあるし、家を買うなら便利な道具は欲しいな! アタシも大賛成だぞ!」


 今回はアリス先生も乗り気だし、欲しい煌力製品は全部買っておきたいな。

 いま買っておけば怒られそうにない。いまが買い時なのは確実だ。


「私の国には煌力研究施設ってないのよ。騎士の国だから学者って少なくて」


 脳筋の国っぽいな。


「だから興味があるの! 絶対行きたい!」


 マリーナの国は煌力製品が少ないようだし、買い込んで商売に使うか?

 オレたちの輸送力は他の商人の追随(ついずい)を許さないから儲かるし。


「じゃあ準備はしっかりしてくれ。指輪に入れた食料が少なくなってきたし」


 食料の買い出しはオレとレイラが行くことに決まり、着替えなどはアリス先生と結衣とマリーナが向かう。

 オレのパンツが安物になるのは確実だな。穿き心地が悪いんだよな。

 金はあるのに、オレはよく破るからと、日本人の勿体ない精神が発動してしまった。


 必要な物は高くても買うのに、オレのパンツは必要ないのかね~。

 今までで1番高い買い物は、マリーナとレイラの収納の指輪だったな。

 最高級品で収納量は小さい家くらい入り、値段は飛行円盤の倍以上した。

 それは必要だからいいんだけど、オレの穿き心地のいいパンツだって必要なのに。



 ブツクサと愚痴りながら、レイラと食料の買い出しに出掛けた。

 出掛ける前に伯爵に旅行のことを伝えに行ったら、旅行に行くのに落ち込んでるのは何故かと聞かれ、理由を話したら同情されて、最高級のパンツをプレゼントすると約束してくれた。


 私の娘は安物のパンツを夫に買ったりしないぞ? とわけのわからないプッシュをされた。

 さすがにパンツで結婚を決めたりしないって。頼み込めばアリス先生だって買ってくれるだろうし。


 オレは微妙な気分で買い物に向かった。レイラに慰められたけど、パンツくらいで同情されるオレの人生は順調だろうか?

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