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新婚旅行

 詳しく聞くのを躊躇っていると、フィーリアが話し始めた。

 何でも、拐われる時に親を殺されたらしく、現在は死刑になった貴族家が150年くらい前にやったらしい。

 当時の貴族が金で雇った凄腕の犯罪者に命じて、エルフを拐ってこさせた。

 その拐われたエルフが、運悪くフィーリアだった。

 その時フィーリアは60歳くらいで、人間の見た目で3歳くらいだったらしい。

 エルフは100歳くらいまで花の蜜だけで栄養を摂るらしく、人間の食べ物を消化できないそうだ。

 親とピクニックをしていたらしく、フィーリアを守ろうとして殺されたそうだ。


 オレの言いつけ通りに、暗殺者の件は伏せるため、話はそこまでだった。

 恐らく、暗殺者に育て上げるために子供にしたんだろう。

 エルフの特性は有名らしいので、鍛え上げれば暗殺者として適していると考えたのかも。


 大抵のエルフは魔力が強いわりに争いを好まない種族なので、友好的なので不意を突きやすい。

 だから子供を拐って鍛えれば、魔力が高いから強い戦士になる。

 見た目もあって、油断させるのに向いた種族だろうな。

 年齢を知っているオレたちも、フィーリアのことは子供として接しているし。


「結衣、泣くな」


 フィーリアの話を聞いて泣き出した結衣を抱き寄せる。


「なんで泣くの? ユイちゃん、私はいま悲しくないよ?」


「私は悲しいもん」


 フィーリアにとっては終わったことなんだろうな。

 嫌な昔話をしたのに悲しくないのもどうかと思うが、麻痺してるのかもな。


「それなら、フィーリアの故郷に新婚旅行がてら行くか。墓参りくらいはしとけ」


「いいの? お兄ちゃん」


「旦那様が提案したんだから、いいに決まってるでしょ!? 子供が余計な気を回さないの!」


 泣きべそを掻きながら言うと、マリーナのほうが子供っぽいぞ。


「私子供じゃないよ?」


「見た目はアタシより小さいから子供だ! 新婚旅行はエルフの街に決まりだ!」


 アリス先生も賛成のようだし、結衣も落ち着いた。


「フィーリアさまのご両親のお墓に、お好きな物を供えましょうね~? 何がお好きですか?」


「よく覚えてないけど、私はピーマンが好きだよ? だから両親も好きだと思う」


 どんな理屈だよ。

 それに苦いのも好きなのか。薬草で作った携帯食も気に入ってはいたんだな。


「ん~、それならオーソドックスにピーマンの肉詰めとか作りましょうか~」


「じゅる……ピーマンと肉のコラボ……どんな味かな?」


 肉も好きになったんだな。

 オレと会うまで食べたことはなかったらしいが、最近ではよく食べてるからな。


「それじゃ、2日後にでも出発しようか? 戦争はまだお互いに準備中だろうし、旅行に行く余裕はあるだろ」


 オレの提案に全員が賛成した。

 さっそくレイラが準備を始める。


「必要な物を買ってきますね~」


 基本的に、生活費の管理はレイラに任せているので、食料などの買い物なんかは、レイラがやりくりしている。


「レイラお姉ちゃん、お使いは私がするよ? 私に任せて」


 フィーリアは最近、お使いの仕方を覚えたので、レイラに買い物は自分が行きたいと頼んでいる。

 必死にメイド服をクイクイ引っ張り頼んでいる。

 今日のレイラはスカートが短いメイド服だから、レイラのパンツが見えてしまっているので、レイラに外では引っ張らないように叱られている。

 それでもスカートを放さず、お願いした。

 いままでは金も貰えず、暗殺者としてこき使われていたので、金の使い方を知らなかった。

 覚えたことをするのが楽しいんだろう。あるいは、褒められるのが嬉しいかだな。


「結衣もお買い物に行きたい! レイラお姉ちゃん、お小遣いちょうだい!」


 結衣にはオレが死んだ時に備えて、数十億の金を持たせているが、その金はいざという時に使うように教えている。

 なので、レイラに小遣い分を渡して、欲しい物を言って許可が出れば貰えるのだ。

 旅行のためのオヤツを買うのだということを、身振り手振りを駆使して力説している。


「お菓子なら私がお作りしますけど~、私のお料理はお嫌いでしょうか?」


「嫌いじゃないよ! 凄く好き! でも遠足のオヤツみたいなお菓子も欲しいの! レイラお姉ちゃんのは豪華すぎてオヤツっぽくないもん」


 確かに、レイラのはオヤツというイメージじゃなく、デザートって感じだもんな。お茶会に出そうな。

 なんとなく納得したのか、レイラが小遣いを渡した。

 フィーリアには買い物メモと金を渡して、寄り道しないように注意している。

 フィーリアは出掛けるついでに、情報収集をしてくる癖があるからな。

 この間お使いを頼まれた時は、お使いのついでに犯罪組織を潰してきて、レイラにめっちゃ叱られてた。

 本人は、オレたちへの危険を減らしただけなので、なんで叱られているのか解らず、キョトンとしてたからな。


 いろいろ有ったけど、結衣と一緒に出掛けることになり、2人は手を繋いで買い物に向かった。

 レイラは干していた洗濯物が乾く時間なので、自分たちの部屋に向かって取り込みをする。

 マリーナは心配なのか、部屋をウロウロしたあとに、結衣とフィーリアのあとを追っかけた。


「え~と、なんか2人きりになっちゃったな?」


 落ち着きをなくしているアリス先生が、間が持たなかったのか声を掛けてきた。


「そうですけど……なんで緊張してるんです?」


「当たり前だろ! 昨日夫婦になったばかりだぞ? どう接していいか分からないぞ」


 まあ立場が変わっているからな。


「別に構えなくても、自然にしてればいいのでは?」


「アタシはせっかく結婚できたんだから、いいお嫁さんになりたいんだよ~。でもどうすればいいか分からないんだ……」


 可愛い嫁でいてくれれば十分だけどな。

 とりあえず、アリス先生を向かい合わせに膝に乗せる。


「いきなりどうしたんだ? アタシの魅力にエッチな気分になったのか?」


「エッチな気分は違いますけど、イチャイチャしたくなったので」


「そっか! 夫婦だからな!」


 結婚したばかりで判らないことも多いけど、自然に夫婦の形に収まるようになるだろう。

 夫婦の形なんて人それぞれだし、お互いに好きで仲良くしてれば夫婦として十分だ。


「んっ! ……んっ!」


 目を瞑って、顔を上げてキスを促す。

 アリス先生がキスをねだるとは思わず、ビックリしてしまった。アリス先生でもキスはしたいんだな~と考え事をしていたら、焦れたアリス先生からキスをしてきた。


「あら? ……お邪魔いたしました~」


 レイラが扉を開けて、すぐに閉めた。


「見られちゃったぞ? どんな顔して接っすればいいんだ?」


「夫婦ですから気にしなくていいと思いますよ」


「……それで気にならなくなるなら、この世に緊張とか恥ずかしいって無くなると思うぞ?」


「でしょうね。言葉は時に無力ですから」


 とりあえずオレは気にしないが、アリス先生は気配を察知しようと魔力感知をし始めた。

 何分か掛かって、いないのを確認してからキスをする。

 したあとは、また気配を探り、いないことを確認してからキスを繰り返す。


「こそこそとキスをしてると、アタシが嫁なのに、不倫相手みたいな気分になって悲しいな……」


「夫婦なんですから、恥ずかしがらずに堂々としましょう」


「そうだな。不倫してると思われるのは腹が立つし」


 それからは気配を気にしないでイチャイチャした。




 2日掛けて準備を終えたオレたちは、王に挨拶して新婚旅行に出掛けた。

 目指すのは、マリーナの故郷のナイトリール王国とは反対側にある隣国、ハイルリーフ王国のエルフの街だ。

 飛行円盤でも3週間は掛かるだろう。しかし連合を組んでいる国なので、戦争が始まればすぐに分かる。

 オレが全力で飛べば、2~3日で戦場に行けるから大丈夫なはずだ。

 戦争は気にしないで、新婚旅行を楽しもう。

 途中にある街や村で休みながら、オレたちの旅行は順調に進んでいった。

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