序章~静かな終わり~
前の序章では使い方がわからなかったため、文章が短くなってしまいました。申し訳ございません。
今回は前の話の続きです。優しい目で見てほしいです。
3人の子供たちによる恒例行事は毎日、同じ時間に起きているがリューキからの返事が「いいよ」だった試しは一度たりともない。
「「「毎日毎日懲りずによくやるわね~」」」
ライとメルモは言われ慣れたことを今日も言われている。
「そんなこと言わないでよ~。こっちだってこたえるんだからね・・・」
「本当だぜ、まったく。リューキの奴はいつになったら俺様と遊ぶ気になるんだか」
意外にもこんなことを言っている二人だが、いつものことなので近所のおばちゃん達は苦笑いしながらスルーしている。
「どうして、そんなこと毎日しているんですか?辛いんなら二人だけで遊んでいればいいのに・・」
突然、そんなことを言ってきたのは紫色の髪の毛を三つ編みにしているフードをかぶっている女性だ。
「どうして・・。相手にされてないのはわかっているのに。どうして?」
消え入りそうな声で発せられた質問に対して二人は
「「暇だからだよ!それに、「遊ばない」ってリューキの口から聞いてないもん!」」
二人は目いっぱいの声をあげてまぶしいばかりの笑顔を見せてそう言って走っていった。
おばちゃん達は嬉しそうな顔をして二人を見送った。きっと二人の気持ちがわかっているからだろう。
しかし、フードの女性はふらふらとその場を後にして
「みんな、みんな、気持ち悪い」
そういって森の中に消えていった。
その頃、ライとメルモの誘いを断ったリューキはというと・・・
「はぁ~~。今日も来たよ。他にすることないのかよ~。
もしかして、ほんとに俺と遊びたいだけ?
いや、狂うな俺!あれは奴らの作戦だ。同情を引いて俺が出たところで泥団子でもぶつけてくるつもりなんだ!!
きっとそうだ!その通りだよ!!俺ってやっぱ天才~~」
などと独り言っているのは残念な思考しか持てないリューキ(馬鹿)である。
「本当向き合えないんだけど!この村で子供が俺合わせて3人しかいないのは知ってるけども、あんなに毎日毎日ほんとヤダ!
戦争やってるとか知らないけどこの村平和だし・・・。
俺、族長の息子だから戦争は絶対行かなくていいからなー。早くあの二人も戦争に駆り出されないかな
はぁ~~~」
二人とまともにしゃべったこともない。戦ったこともないクズがこんなことを言っているが反応は当然だがない・・・。
「はぁ~~~。
出て行っちゃおっかな・・・。」
そんなことを言っているが一度も外に出かけたこともない穀潰しは荷物の用意をしているにもかかわらず、実際に行動に移したことは一度たりともない。
夜になり、いつものように月をぼんやりと眺めていたリューキは思っていた。「どうして自分の周りはこんなにもうるさいのか」と。戦争に終わりは来ないし、うるさい子供は毎日くるし、最近じゃ偶に近所のBBAまで声をかけてくる。
自分はただ静かに暮らしたいだけなのに・・・。あくまでも自分は悪くないと完全に思っているのがリューキクオリティ。どこまでも、根暗で自画自賛でネガティブでどこまでも自分に甘い・・・それがリューキ=ドラグオルクという人物(龍)であると自覚もしているのである。だからこそ質が悪いとも言えるのだが・・・
「よし・・・・決めた・・・
ここを出よう・・・!ここじゃいつまでたっても俺の平穏はやってこない。
自分を奮い立たせろ・・・リューキ=ドラグオルク・・・!お前はやれる・・・!」
ふるえた独り言が静かな部屋で木霊する。まとめておいた荷物を持てるだけ持ってリューキは部屋から飛び出した。自分の欲求のために・・・『静かな暮らしをする』という目標のためにリューキは誰も近づこうとしなかった『深淵の森』の奥深くへと歩を進めたのだ。雲が晴れて空に浮かぶ三日月がリューキの旅立ちを祝福しているようだった。
次の日から村の龍達はリューキを必死で探し回った。行きそうな崖、林、洞窟、そして成龍でも死ぬことがある『深淵の森』の付近まで。
龍達は村の防衛など一切考えず、一頭の龍を探し回った。
その数日後、リューキが住んでいた龍の村は地図から跡形もなく消え去った。リューキを探すことに懸命になりすぎて村の防衛がおろそかになっていたことがきっかけでこの村はリューキの望む通り静かになったことは皮肉ともいえるだろう。
しかし、リューキがこのことを知るのはずっとずっと後のことである・・・。
序章はこれで終わりです。次からは本編となるので我慢して読んでください。