第2話 最強の男
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俺の名前は原口勇気。
最強の男だ。
大袈裟でもなければ自惚れでもない。
事実喧嘩で負けたことは一度もない。
「原口さん、おはようございます!カバンお持ちします!」
「原口さん、焼きそばパンとコロッケパン買ってきました!」
「原口さん!このエロ本もう余すことなく堪能したので差し上げます!」
気付けば俺は東高の頭になっていた。
自分の強さをひけらかしたいわけではないし、権力を振りかざしたいわけでもない。
でも人助けをしていたら、あれよあれよと頭に祭り上げられてしまったのだ。
まあ、楽だしこれはこれでいいんだけどね。
悪名高い不良共を、バッタバッタとぶっ倒し、ついに喧嘩を売る奴は誰も居なくなった。
ただ1人の例外を除いて。
「原口さん!西校の飯山が桜井をボコったみてーです!んで原口さんに放課後菖蒲公園に一人で来いっていってやす!」
飯山卓也。パワーだけなら誰にも負けないゴリラ野郎だ。
こいつとの因縁は幼稚園まで遡ることになる。
最初は砂場をかけた決闘だった。
次によしこ先生を賭けた決闘。ショートケーキを賭けた決闘。落ちてるエロ本を賭けた決闘。好きなアイドルを賭けた決闘。ネックレスを賭けた決闘。エトセトラ。エトセトラ。
そのいずれも俺の勝利だった。
そして今度は、学校の尊厳を賭けた決闘に臨もうとしていた。
公園に着くとそこには既に飯山の姿があった。いや、飯山だけではない。西校の不良仲間二十人ほどが居た。
「よお、原口。本当に1人で来たみたいだな。」
「そういうお前は仲間をぞろぞろ引き連れて、俺がよっぽど怖わいんだな。」
「ほざけ。テメーこそ恐怖で声が震えちまってんぞ。」
確かにこの人数はちときついな。
正直、飯山はかなり強い。
俺が居なければこいつの天下だっただろう。
そんな飯山+この人数の子分たちとなればかなり厄介だ。
まあ負けることはないが。
「心配すんな。テメーごとき、俺一人でボコボコにしてやるからよ。」
「お前一人で勝てるわきゃねーだろ。素直にお友達に助けて下さいってお願いしろよ。」
「黙れクソガキ!今日はとっておきの秘策があるんだよ!!」
よく見ると飯山は右手に竹刀を持っている。秘策ってのはこれか?
「竹刀程度でお前と俺の差が埋まると思ったのかよ。本当にのーたりんだなお前は。」
「うっせえ!!テメーに勝つために最近道場に通ってんだよおおお!!」
飯山は竹刀を力一杯振り下ろす。
想像より早い。避けきれないと判断し、右手で竹刀を防ぐが、「ぐっ!!」
骨の芯まで衝撃が走った。
馬鹿力の飯山が竹刀持ったらこんなに厄介なのかよ。
しょうがない、こっちも奥の手だ。
「おい、飯山!有村○純が全裸で歩いてるぞ!」
「えっ?まじ?どこどこ?」
隙あり。
ガラ空きになった顎にアッパーを好打する。
KO。
こいつの欠点はド変態で大バカなところだった。
「やい、原口!卑怯だぞ!」
「やい、原口!てめー全員でボコボコにしてやる!」
「やい、原口!全裸の○純ちゃんどこに居るんだよ!」
やかましい子分達が騒ぎ始めた。
「死にたいならかかって来いよ。俺もこのバカだけじゃ物足りねーんだよ。」
凄味を利かすと子分共は尻尾を巻いて逃げていった。
この通り、俺原口勇気は最強なのだ。




