第四十五話 幼女に踏まれたい
「えいっ!」
「キャー!」
「ふみふみー」
目を覚ますと、そこは楽園だった。
「これは一体、どういう…………」
気絶から覚醒すると、既に日は昇っていた。
つまり、幼女も元気におはようしている時間帯なのだ。
「ゆうしゃさま! きもちーでしょっ?」
幼女エルフが俺の耳元で無邪気な声を発する。
なんていうことだろう。この幼女は俺のすぐ隣で寝そべっていいた。
純真な顔が見ていられなくなって、俺は反対に顔を剥ける。
「あのねあのね! いっぱいまっさーじしたんだよっ」
反対にも幼女がいた。無垢な笑顔で俺を見ていた。
「――っ」
冷や汗が一つ、額から流れる。
昨夜はどうにか自分を気絶させることで理性を保つことができた。アトレの執拗なマッサージにも耐えられた。
でも、今はちょっと無理そうだった。
何せ、俺の両隣には幼女がいて、しかも腕にくっついているからである。
重度のロリコンになっている今、この二人を振り解くことが俺にはできなかった。
「んー! てゃー」
「にひひっ。とう!」
「うりゃー!」
現在の俺は、うつ伏せの状態で寝そべているわけだが。
俺の上には現在、三人の幼女が乗っていた。
「………っ」
首を捻じ曲げて、背中の状態を確認する。
背筋には一人。この子は俺の硬い筋肉が気にっているのか、さっきから執拗に踏んでくる。痛くはないが何とも言えない気分になるからやめてほしかった。
腰元には一人。俺のお尻にぺたんと座り込んで、腰元をぽかぽかしている。マッサージのつもりらしい。
そして、足元にも一人。ふくらはぎの上でバランスをとる彼女は、声を上げながらステップを刻んでいた。元気いっぱいなのはいいけど、普通に足が痛いです。
うん。ってか、この状況なんなの?
幼女に囲まれているのは楽園だけど、よく分からなくもあった。
「あら? 起きたのね」
と、ここでアトレが儀式場に入室した。
彼女は少し眠そうに目をこすっている。足取りもどこかふらふらしていた。
「私、昨夜はずっと貴方のマッサージをしてて……一睡もしてないのよ」
俺の表情から思考を読み取ったのか、聞く前に応えてくれる。
どうやら夜通し儀式を続けていたらしい。なるほど……だからこんなに気分が落ち着かないのか。
「なぁ、この子たちはどうしてここで遊んでるわけ?」
「儀式を手伝ってもらっているのよ。一応、幼女だし問題はないわ。あと、この子たちの強い希望よ。勇者さんと遊びたいって」
なんと。俺はエルフの幼女にも人気者のようだった……だからこんなにはしゃいでるんだな。
「あそぶー!」
「ゆうしゃさま、かたい!!」
「つよい!」
「おっきい!」
「ふみふみー」
五人の幼女が声を上げる。
舌足らずな声はなんとも無邪気だが、この子たちは儀式の意味を分かってるのだろうか……一応これは、俺の性欲を増幅させるために、こういうことやってるのである。
きっと知らないでやっているのだろう。なんとなく背徳感があった。
「くっ」
ドクンと、大きく心臓が鼓動する。
体がやけに熱く、思考もいつもよりふわふわしているような気がした。
「儀式は順調ね。想像以上に効きも良さそうだし、あと一時間くらいで大丈夫かしら?」
アトレが俺の様子を見てそんな判断を下す。
「おい、本当に大丈夫なのか? ここまでやって、儀式が失敗したら泣くぞ?」
「大丈夫よ。貴方だって限界でしょう? まさか、正気を失うまで続けたいなんて言わないわよね?」
「……それもそうか」
確かに、正気を失っては手あたり次第に幼女を襲いそうで、イヤだ。
そんなの許せなかった。俺のロリ魂が理性を失うことを拒絶している。
幼女は穢れないからこそ、幼女足りえるのだ。
穢したくない。例え俺の手であろうと、その一線は越えたくない。
と、思ってしまうのもやっぱりユメノの魔法のせいなのだろう。
今の俺は、心境がかなり複雑になっていた。
性欲は高まっているが、幼女には手を出したくない――という葛藤がせめぎあっている。
どうしたものか。
「あと、魔王さんが限界なのよね。貴方と一晩会えないだけで、かなり落ち込んじゃってて」
「……やっぱりか」
そして、魔王の方も限界のようだ。あいつ、俺のこと好きすぎるだろ……俺も好きだけどさ。
一晩会えなくて俺も寂しかったけど、魔王の方が重症らしい。
「分かった。そろそろ切り上げてくれ……俺も、たぶん十分だから」
「そう? じゃあ、みんなそろそろどきなさい。もうたくさん遊んだでしょう?」
俺の言葉に、アトレが頷いてくれた。
エルフ式性欲促進マッサージ儀式も、無事終了である。
「たのしかった!」
「またあそぼうねっ」
「きんにくかたかった!」
「おおきくてつよかった!」
「もっとふみふみしたかった!」
幼女エルフたちは笑顔で出ていく。一人まだ満足しきれてなかった子もいたけど。
あんまり遊んだつもりはないのだが、ともあれ楽しんでもらえたなら何よりである。
あー……ムラムラするな。
と、俺は自身の性欲が高まっているのを感じた。
儀式の効果もやはり十分である。
今なら、魔王の期待に応えられる!
そう思った。
「そろそろ魔王さんが欲求不満で倒れるかもしれないから、急いで戻りましょうか」
アトレの後に続いて彼女の家へと戻る。
「しばらくはここの一室使いなさい? 魔王さんと相部屋にしてるから、どうぞじっくり楽しんで」
アトレの案内で、俺は魔王の待っているであろう部屋へと赴く。
「ただいま。魔王、今帰ったぞー」
「――勇者!!」
扉を開けると、同時。
ベッドで寝ころんでいた魔王が跳ね起きて、即座に【転移】してきた。
ここまで走って来る時間も惜しんだのだろう。彼女は一瞬で俺の胸元に飛び込んできた。
「おっと」
「ゆうしゃだぁ……」
受け止めると、魔王は俺を抱きしめながらにへら~と笑う。
よっぽど寂しかったようで、抱きしめる力も強かった。
「寂しかったのだぞっ。我、勇者が居ないと死ぬ」
「一晩だけだろ……まぁ、俺も寂しかったけどさ」
「勇者の匂いはやっぱり落ち着く……ずっとこうしてたい」
ぎゅ~っと顔を埋めてくる魔王。
彼女はもはや俺にしがみついていた。自分で立ってすらいない。俺の背中で足をクロスさせて抱き着いているのである。
そのせいで、身体が密着していた。
魔王は普段着の、ヒモみたいな下着を着ているわけで……つまり、彼女の素肌が俺に触れているのである。
「――っ」
はっきり言おう。
ムラムラしてならなかった。儀式のおかげで、薄かった魔王への情欲が濃くなっている。
だが、幼女を愛でるべきだというロリコンの理性はなおもあり、そのあたりで内心は複雑だった。
ど、どうしよう……どうなるんだ!?
「勇者っ。そろそろ、一緒に……眠るのだっ」
魔王が甘えるようにそう言って、ベッドへ行くように指示を出してくる。
さぁ、いよいよ――魔王との対決が迫っていた。
彼女の期待通り、俺はエッチなことが出来るのか。
「う、うん。分かった」
未だどうなるかは分からないが、精一杯頑張ろうと思うのだった。




