後日談その3 もしも勇者が魔王のお腹の中に転生して子供になったら
休日。魔王のお腹に顔を埋めていると、ふとこんな欲望が沸いた。
「魔王の子供になりたいなぁ」
うわ、きもっ。
自分で発言してなんだが、今のはちょっと引いた。無意識にこんなことを考えていたのかと、自分自身が怖くなる。
だが、そんな俺でさえ、魔王は受け入れてくれるから、彼女はとても寛容なお嫁さんだった。
「ん? いつもみたいな、赤ちゃんプレイではダメなのか?」
「いつも赤ちゃんプレイしてるみたいな言い方するなよ……」
「ほぇ? いつもしているのではないか?」
「……そういえばいつもやってるなぁ」
またしても無意識にやっていたらしい。最早俺にとって赤ちゃんプレイは呼吸も同義だったのだろう。やったことにも気付いていない自分にドン引きした。
そ、それはさておき。
「なんていうかさ、エロい感情抜きで子供として甘やかされたいっていうか……魔王に叱られたいっていうか……」
なんて言えばいいのだろうか。
魔王は、とてもいい母親になると思う。優しいし、寛容で、だからといって叱るべきところは叱ってくれるので、子供もきっと立派に育つだろう。
こんな女性が母親だったら、どんなにいいだろう――と、俺は思ったのだ。
「ふむ……勇者が我のお腹の中に、転生してくるわけか」
「まぁ、そんな感じだな」
もしかしたら、そういう可能性もあったのだろうか。
人間を裏切るのではなく、魔王との最終決戦で敗れた俺が、そのまま魔王のお腹に転生していたとするならば。
「きっと、殺された恨みで、最初は復讐しようとするんだろうな」
「我の方も、きっと勇者を殺そうとするのであろう。しかし、なんだかんだ我が腹を痛めて産んだ子なのでな……きっと、愛するのであろう」
「俺も、魔王の母性本能に負けて、たまに子供みたいに甘えてしまうかも」
「むふっ……それはそれで、可愛いではないか。うむ、それもまた悪くないお話だな」
最初はきっと、お互いに殺し合おうとするはずだ。
しかし俺は子供だから非力で殺せないだろう。だから、あらゆる策で魔王に復讐を果たそうとするが、ことごとく失敗して魔王におしりぺんぺんとかされるかもしれない。
そんなこんなで、二人は少しずつ絆を深めていくのだ。
そして最終的には和解して、お互いを家族として思いやるようになるのだろう……そういう物語もまた、悪くないなぁって思った。
しかし、だ。
俺は、今の状態で満足している。
「でも、魔王とエッチなことできないのは嫌だし、今の関係が一番だなっ」
「勇者は相変わらずスケベだ……でも、そんな貴様が、我は大好きだぞっ♪」
抱き合い、お互いに愛し合う
親子では決してできないことができるのは、とてもいいことである。
魔王の子供になるのは、捨てがたい欲望ではあるけれども。
今みたいに、夫婦として愛し合うのもまた、悪くない。
そう、俺たちは再確認するのだった――
お読みくださりありがとうございましたm(__)m
本作はこれで完結となります。
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