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ダンジョン糞  作者: い
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ファンタジー世界における排泄物の処理について

小説というより論文です。

小説やゲームの登場キャラはトイレになんぞ行かないのが普通ですが、あえてファンタジー世界のトイレ(というか排泄物の処理)について真面目に考察してみました。


なろうを使うのがはじめてということもあって、タイトル詐欺ですが、人間世界の考察が終わったところで一段落とさせて頂きました。

 ダンジョン糞


 中世風のファンタジーというのはありふれているし、関連書籍もたくさん出ているけれど、排泄について語られてる文献を見たことがないなぁと。

 無いなら自分で書いてみるかというわけで書いてみることにした。別に筆者は上下水道や中世風俗を専攻したわけではないので、素人の与太と思っておいて欲しい。

 なろうに投稿してみたが、小説ではなく論文に近い与太なのでそこはご容赦頂きたい。

 それでは本文開始。


1・中世ファンタジー世界における排泄を必要とする生物


 そも排泄について語ろうというのに結論が「皆魔法で動いてるからうんちとかしないよ?」だったら論文にならん。

というわけで排泄が必要なファンタジー世界の住民について考えてみようと思う。


 まず、人類。

 例外が多々あるのがファンタジー世界とは言え99%以上の一般市民は排泄をする。よってこの論文が成立する余地は充分あると考えられる。

 人類と区分したが、エルフ・オークなどの亜人と呼ばれる連中も、大体は排泄をしていると考えられる。


 動物。

 普通の家畜や野生動物は現実同様排泄をするだろう。獣人の類も大部分は排泄をすると考えられる。


 ……と挙げていくと排泄しないファンタジー世界の住民を挙げた方が早い気がしてきた。


 魔法生物やドラゴンなどの幻獣寄りの連中(ドラゴンがまともに飯食ってたらドラゴンの体重維持する食事でその地域ぺんぺん草も生えなくなると思われる。クジラみたいに効率よく食事を取っているドラゴンという描写をほとんど見かけない以上栄養摂取は動物とは別方法と考える方が自然だろう)

 要するに「魔法」と大雑把に括られるご都合主義的な代物で生命維持している連中以外は大体排泄をしていると考えられると結論づけて良いかと。


2・中世ファンタジー世界における排泄物の処理について


 ここからが本題と言って良い。

要するに町や城での排泄物の処理はどうなってるんだというのがこの論文で語りたいことである。


 まず、普通に上下水道を整備するという方法論を考えてみよう。中世のキリスト教徒みたいに入浴を嫌うという文化は普通のファンタジー世界では無いので、古代ローマ帝国のような排泄物の処理方法は充分考えられる。

 ただし、ローマ帝国の上下水道は、あの広大な帝国の領土、つまり莫大な国力に依存するところが大きい。

 専門的に語る知識はないので、ローマ人の物語の10巻でも読んで下さいということになるのだが、巨大な帝国が安定した統治をしているという設定のファンタジーはそんなに多くない。

 そも戦乱が起こらないとお話しが始まってくれないので仕方がないのだが、そうするとローマ式の上下水道は難しいという結論になってしまう。

 局地的には可能かもしれないが、大部分でローマ式の上下水道完備というのはいささか国力的に無理がある。

 それに水圧を掛ける装置は普通のファンタジー世界にはないので、城や砦などの高いところに住んでいる人はどうするのかという問題が発生する。

 砦に籠もる羽目になったとき、まず糞の処理に困るとか笑い話だが深刻である。


 どうも現実にあった上下水道をそのままファンタジー世界に適用するのは難しいようである。中世以降の上下水道を適用するのは、技術的な問題が立ちはだかるだろう(魔法という便利なものがあるにしても普通魔法には限界がある設定だ)

 TRPGの話になるが、下水道から何処かに侵入……などという案が出た場合。火薬が普及していない世界なら

「君のキャラは下水道という概念を知らないし、この世界に下水道はないよ」

 と言ってしまって良いだろうし、火薬式の銃が普及しはじめの世界設定でも、よほどの大都市でなければ同じ事を言ってしまって良い。中世ファンタジーの場合下水道は整備されていないと考える方が自然である。


 ではファンタジー世界における有力な排泄物の処理法は? という問いには加熱法を提案してみたい。

大体のファンタジー世界でちょっとした炎の魔法なら簡単に扱えるというのが相場である。そういったファンタジー世界では、排泄物を加熱してしまえばそれで済む。小便は蒸発して、大便は灰になるので、後は灰を適当に捨てるだけだ。

 この方法の利点として、移動中でも使えるという点がある。

 軍隊が発生する排泄物の量というのは莫大なもので、1万人の軍勢が移動するとなった場合、一日1回、つまり1万回以上の大便と、その倍以上の数の小便を処理しなければならないが、加熱法で処理する場合、適当に穴掘ってそこに排泄させた後焼いてしまえばそれで済む。

 排泄物処理専用の魔法使いが必要になるというなかなか嫌な考察ではあるが、合理的ではあると思う。少なくとも糞尿慣れ流して衛生面で大問題を引き起こすよりはマシなのではないだろうか?


 では、中世ファンタジー世界での排泄物の処理はどうなっているか。

 筆者は上下水道・加熱式・肥溜めを作る日本式、この3つが併用されていると考える。勿論、現実の中世ヨーロッパのように道に投げ捨てている場合もあるだろうが。


 城や屋敷といった金持ちが住むような住宅では加熱式が普及しているものと思われる。世界観にもよるが、コストがそれなりにかかりそうなので一般家庭に普及している設定は厳しいかなというのと、高いところにあるのが普通の貴族の屋敷や城は水洗トイレにするのは無理がある(低い土地に屋敷作ると雨降ったとき酷いので、お金持ちは水はけの良い高いところに屋敷を作るものである)

 水そのものは魔法でどうこうできる世界観が多いが、水の魔法はまず飲料水としての用途に使われるはずだし、同じ魔法で片付けるなら火の魔法で燃やした方が水の魔法を使うより早い。

 これで綺麗なお姫様がおまるで用を足して、茂みにぽーい!とかいう世界観から解放されたね!


 さて、市街地の一般家庭であるが、これは上下水道を使用しているか、道にぽーいかのどちらかであろう。

 炎の魔法がお手軽に手に入る設定で、加熱式を普及させてしまっても良いが、リアリティを重視すれば裕福でない家庭はトイレにそんな金をかけられないと思うし、そこまで魔法がお手軽だとかつて栄華を誇った古代○○文明的な存在になってしまう。


 農村地帯では、堆肥の材料として使われているという設定が無難ではあるが、中世ヨーロッパに人間の排泄物を肥料として使う発想はなかった。

 そこを気にする人は集団トイレがあって流しの魔法使いがトイレを加熱式で処理してくれるとかいう、狼と香辛料的な世界観(定期的に回ってくるのは商人ではなく魔法使いだが)にしても面白いかなとは思う。

 ちなみに家畜の糞尿は、基本放し飼いなので余り問題にならない。というか史実のヨーロッパでは輪作を行っていて、畑にした後に牧草地にするという流れだったので自然と堆肥になっていたとのことである。


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