公園の鏡
私は自分が嫌いだ。
だから自分を写す鏡も嫌いだ。
人との差を認識してしまうから。
だから私は鏡も嫌いだ。
私はいつもの公園で、
コンクリートでできた段差の高い階段の三段目に座っていた。
その階段はその高さを利用した滑り台が横に設置されている。
見晴らしがよく、居心地もいい、
私のお気に入りの場所だ。
今は午前中この暑い季節まだ暑くなる前の時間だ、
カラッと乾いた空気に穏やかな風が吹く、
公園の中央にある一番大きな木がざわめく。
今日もいい天気になりそうだ。
地面がチラチラと光っているのに気付いた、
見るとちくちく眼に刺さるまぶしい光だ、
まだ無人の公園に何かが落ちている。
なんだあれは?
遠目からは眩しくて確認できない。
何となく気になった。
ポテッポテッポテッと階段を降り、
近づいて何か確認しに行った。
階段と大きな木との中間の距離、
手鏡だっ、ピンク色の取っ手に花柄の手鏡。
可愛らしい鏡だこと。
すす汚れているが、十分使える鏡だ。
昨日この公園で遊んでいた子供が忘れていったのだろう。
覗き込む、自分の姿が鏡に映る。
覗き込んでいる猫の姿が…。
自分のこの姿をどれだけ呪った事か。
いつ見ても酷いナリね。
その鏡を残しまた階段の上へと駆け上がる。
忌々しい自分の姿を思い出す、何も付いてない寂しい首元…
一人取り残された手鏡が青い蒼い空を映し出す。
私は自分が嫌いだ。
だから自分を写す鏡も嫌いだ。
『人との差』を認識してしまうから。
だから私は鏡も嫌いだ。
はい
読んでいただいてありがとうございます阿山利泰です。
前作と言うべきか、公園の月を読んでると『私』がバレバレの作品で面白さ半減ですが
短編なのでどっから読んでも驚きがあるように毎回『私』は伏せるつもりです。
切り離しても楽しめるようにしたのですが
なかなかそこまでの技量が無く、伏線は回収したく
連載に載せるべきだったと後々後悔しています。
短編が繋がっていても滑稽なので”次”か”次の次”に締めたいと思っています。