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第7話:複数衣装の試用

翌日、ユイは机の上に並べた複数の衣装を見つめていた。

忍者、魔法剣士、和風戦士……それぞれが異なる力を持つ衣装だ。掌に残る昨日の光の余韻を感じながら、胸が少し高鳴る。

「今日は……どの衣装にしよう」

慎重に忍者の衣装を選ぶ。黒と藍の布が手触り柔らかく、軽やかだ。着ると、視界が鮮やかに変わる感覚があった。呼吸が整い、動作が自然に俊敏になる――まるで身体が衣装の一部になったようだ。

「……すごい」

小さな跳躍を試みると、普段なら届かない窓の手すりに軽く手が届いた。街の景色も、ほんの少しだけスピード感を増したように見える。興奮が胸を満たす。

しかし、喜びは長く続かなかった。掌から零れた光が意図せず飛び、近くの看板を揺らす。小さな悲鳴とざわめき。

「や、やっぱり……制御がまだ」

その瞬間、レオンが現れた。黒いローブに身を包み、静かにユイを見下ろす。

「落ち着け、ユイ。楽しむだけじゃなく、力の代償も考えろ」

「うん……でも、ちょっとだけ……」

ユイは忍者の衣装の軽快な動きを楽しみながら、同時に緊張の糸を手放さない。喜びと恐怖、自由と責任が胸の中で交錯する。

次に魔法剣士の衣装を試す。赤いローブに刺繍された剣の紋章が光を反射し、掌から出る光が剣の軌跡のように舞う。街灯の下で小さな火花が飛び散り、通行人の子どもたちは目を輝かせた。

「楽しい……でも……危ない」

夕方、アパートに戻ったユイはアクセサリーを胸に抱き、深呼吸する。多彩な力は魅力的だが、制御を誤れば人々に迷惑をかけることもある。今日の試用でその現実を痛感した。

ミナが駆けつけ、肩を叩く。

「ユイ、色んな衣装があるんだね! 全部似合ってたよ!」

その笑顔に、ユイは少し救われる。

「ありがとう……私、もっと強くなりたい」

掌に残る光の余韻が、彼女の決意を照らす。

今日の経験は、楽しさと危うさの両方を教えてくれた――そして、まだ見ぬ力と未来の可能性を示す、小さな予告だった。

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