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第19話:初めての本格的冒険

朝の光が街を照らす中、ユイは巻物を手にし、ミナとレオンとともに小道を進んでいた。

「本当にここに向かうの?」

ユイの声には不安が混じる。未知の場所、予測できない危険――胸が高鳴る。

ミナは笑顔で答える。

「大丈夫だよ、ユイ。私たちが一緒にいるから」

レオンも冷静にうなずく。

「油断するな。だが、恐怖に飲まれる必要もない。行動が全てを変える」

道を進むにつれ、街の景色は徐々に変わっていく。舗装された道路は苔に覆われ、街灯の光も届かない細い路地。古びた建物や蔦の絡まる石橋が現れ、非日常感が濃くなる。

掌に光を宿したユイは、昨日の覚醒で得た感覚を意識する。衣装の布が柔らかく光り、身体の動きが軽い。力の制御も少し安定している。

「……これなら、行けそう」

小さくつぶやき、一歩ずつ慎重に進む。

途中、倒れた石碑や古代の扉を目にし、紋章が反応する。掌から光を送り、扉を少しずつ開けると、中には小さな広間が広がっていた。壁には古代の文字と光る紋章。まるで時間が止まったかのような空間だ。

「すごい……まるで別世界」

ミナが息を呑む。ユイも胸が高鳴る。未知の世界に足を踏み入れた興奮と緊張が同時に押し寄せる。

しかし、突然掌の光が暴走し、広間の浮遊する小石や古い道具が宙に浮いた。

「きゃっ……!」

恐怖と焦りが胸を締め付ける。

レオンが冷静に声をかける。

「落ち着け、ユイ! 恐怖は力の制御を乱す」

ミナもそっと手を握る。

「大丈夫、私がいる」

ユイは深呼吸をし、掌の光を内側に戻す。浮かんでいた物がゆっくりと地面に戻り、広間に静寂が戻る。

「……できた」

胸に小さな達成感が広がる。恐怖を乗り越え、未知の場所で力を使い、成長した瞬間だった。

広間の奥に、微かに光る扉が現れる。巻物の紋章が指し示す先――次なる冒険が、静かに、しかし確実に始まろうとしていた。

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