第17話:秘密の巻物と小さな冒険
アパートの一室。机の上には、レオンが前回持ってきた古い巻物と小さな鍵が置かれていた。
ユイは巻物に手を伸ばし、慎重に開く。紙は薄く、かすれた文字と図形がびっしりと描かれている。
「……これは……何?」
ミナも身を乗り出して覗き込む。
「魔法の呪文? それとも冒険の地図?」
巻物を広げると、文字だけでなく、光を帯びた紋章が浮かび上がった。掌に触れると、微かに暖かい感覚が指先を伝う。ユイの胸が高鳴る。
「これは……私たちに関係があるってこと?」
レオンは静かにうなずく。
「巻物は古代から伝わる秘宝の手がかりだ。だが、解読には力と知恵が必要になる」
ユイは深呼吸し、心を落ち着ける。掌に残る光を意識しながら、紋章を指でなぞる。すると、文字が微かに光り、道筋のような模様が現れる。
「……まるで、ここから何かが始まるみたい」
興奮と緊張が入り混じる。ミナの手も光を帯び、巻物の力に反応していた。
「やっぱり、私たちだけじゃないのね」
夜の街を抜け、ユイたちは巻物に示された小道を辿る。路地裏、古い橋、使われなくなった神社――すべてが薄暗く、非日常の雰囲気を帯びる。
途中、掌から零れる光が偶然、古びた扉の鍵穴に反応し、扉がゆっくり開いた。中には小さな地下室があり、古代の道具や石碑が並ぶ。
「ここが……秘密の場所?」
ユイは息を呑む。胸の高鳴りが止まらない。恐怖と好奇心、喜びが入り混じる瞬間。
レオンが静かに言う。
「ここから本当の冒険が始まる。お前たちの力、心、すべてが試される」
ユイは巻物を握りしめ、深く息を吐く。掌の光はまだ微かに揺れ、未来の可能性を映すように輝いた。
「……私、準備はできてる」
非日常の扉を前に、ユイたちの小さな冒険は、ここから本格的に動き出したのだった。




