第14話:仲間の支えと秘密の提示
夕暮れの公園、ユイはベンチに座り、握りしめたアクセサリーを見つめていた。
昨日の衣装なし挑戦で得た小さな自信はあったものの、胸の奥に不安が残る。掌の光はまだ制御しきれず、街で暴走させる恐怖も完全には消えていなかった。
「……どうしよう、次はもっと大きな挑戦になるかもしれない」
そのとき、背後から声がした。
「ユイ、また悩んでるの?」
振り返ると、ミナとレオンが並んで立っていた。ミナの笑顔は変わらず温かく、レオンの黒いローブは夕日に照らされて威厳を放つ。
「うん……でも、少し自信もあるんだ。衣装なしでも、少しだけ自分を信じられた」
ユイは小さく笑う。しかし、その笑顔にはまだ不安が混じっている。
レオンは静かに歩み寄り、ユイの肩に手を置いた。
「良い兆しだ。だが、力には秘密がある。代償も伴う。それを忘れるな」
「秘密……?」
ミナが肩を叩き、笑顔で答える。
「そうだよ、ユイ。あなたの力は特別だから。でも一緒にいれば、怖くないって私は信じてる」
ユイは二人の存在に胸が温かくなる。友情、信頼、支え――孤独や恐怖を打ち消す光のようなものだった。
そのとき、レオンが小さな箱を取り出した。
「これを使う時が来るかもしれない。準備はしておけ」
箱の中には、古い巻物と小さな鍵が入っていた。ユイは手に取り、掌でそっと触れる。微かな光が指先を照らすが、恐怖ではなく、期待のように感じた。
「……これが、次の試練への鍵になるの?」
ミナはうなずく。
「そうかもね。でも私たちがいる。だから大丈夫」
ユイは握りしめたアクセサリーを胸に当て、深呼吸した。掌の光はまだ不完全でも、心の中には確かな希望と決意が芽生えていた。
「……怖くても、前に進む。私の力も、私自身も、守ってみせる」
夕暮れの空に、三人の影が長く伸びる。友情と信頼、そしてこれから訪れる未知の試練――すべてがユイの物語を動かす小さな光となったのだった。




