第12話:決意の芽生え
翌朝、ユイは机の前に座り、衣装を整えていた。
掌に残る微かな光は落ち着き、昨日までの恐怖や孤独が少しずつ遠ざかっていく。窓から差し込む朝日が、ユイの髪を柔らかく照らす。
「……私、やっと少し落ち着けるかも」
昨日の出来事で、自分の力の危うさを痛感した。しかし同時に、力を恐れるだけでは前に進めないことも理解した。
ユイはアクセサリーを手に取り、そっと胸に当てる。光はほんのわずかに揺れるが、恐怖ではなく期待のように感じた。
「私、制御できるようになりたい」
ミナがノックもせずに入ってきた。
「おはよう、ユイ! 今日も衣装着るの?」
笑顔がまぶしく、昨日の涙が遠い出来事のように思える。
「うん、今日は挑戦してみる」
学校では、能力を使わずに自分らしく振る舞うことを意識する。掌から光は漏れず、授業中も心が落ち着く。自信が少しずつ戻ってくる感覚。
放課後、ユイは街に出て衣装の小さな試験を行う。光は制御可能で、街を驚かせることなく、人々に小さな奇跡を届けることができた。
「……やればできるんだ」
夕暮れ、アパートに戻ると、レオンが静かに立っていた。
「今日の結果は悪くない。だが、次はもっと困難な試練が待つ」
ユイはうなずく。心の中に、少し強い決意が芽生えていた。
「怖くても、私は進む。力も、私自身も、制御してみせる」
掌に残る光が、彼女の決意を祝福するかのように淡く揺れる。孤独や恐怖の影を乗り越え、ユイは初めて、自分らしさと力を両立させる第一歩を踏み出したのだった。




