表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/20

第12話:決意の芽生え

翌朝、ユイは机の前に座り、衣装を整えていた。

掌に残る微かな光は落ち着き、昨日までの恐怖や孤独が少しずつ遠ざかっていく。窓から差し込む朝日が、ユイの髪を柔らかく照らす。

「……私、やっと少し落ち着けるかも」

昨日の出来事で、自分の力の危うさを痛感した。しかし同時に、力を恐れるだけでは前に進めないことも理解した。

ユイはアクセサリーを手に取り、そっと胸に当てる。光はほんのわずかに揺れるが、恐怖ではなく期待のように感じた。

「私、制御できるようになりたい」

ミナがノックもせずに入ってきた。

「おはよう、ユイ! 今日も衣装着るの?」

笑顔がまぶしく、昨日の涙が遠い出来事のように思える。

「うん、今日は挑戦してみる」

学校では、能力を使わずに自分らしく振る舞うことを意識する。掌から光は漏れず、授業中も心が落ち着く。自信が少しずつ戻ってくる感覚。

放課後、ユイは街に出て衣装の小さな試験を行う。光は制御可能で、街を驚かせることなく、人々に小さな奇跡を届けることができた。

「……やればできるんだ」

夕暮れ、アパートに戻ると、レオンが静かに立っていた。

「今日の結果は悪くない。だが、次はもっと困難な試練が待つ」

ユイはうなずく。心の中に、少し強い決意が芽生えていた。

「怖くても、私は進む。力も、私自身も、制御してみせる」

掌に残る光が、彼女の決意を祝福するかのように淡く揺れる。孤独や恐怖の影を乗り越え、ユイは初めて、自分らしさと力を両立させる第一歩を踏み出したのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ