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第1話:仮面の中の私

薄曇りの朝、ユイ・ハルカは小さなアパートの自室で、今日も机の前に並べた衣装を眺めていた。

レースと布の香り、カラフルな生地の手触り、それだけで少し胸が高鳴る。

「今日も、この仮面を着れば……私は、私でいられる」

声にならない呟きが、静かな部屋に溶けた。窓の外は都会の喧騒、だけどユイの世界はここだけのものだった。SNSの通知音がチリンと鳴る。

画面には、ライバルのコスプレ写真が並んでいた。完璧な笑顔、完璧な衣装。

胸の奥がぎゅっと締め付けられる。

「……今日も負けちゃうかもしれない」

けれどユイは衣装を抱き上げ、手袋をはめ、髪を整える。

「でも、負けたくない……この私だけの世界では、負けない」

部屋の窓から差し込む朝の光が、彼女のロングブラウンの髪に柔らかく触れる。鏡に映った姿は、いつもの私とは少し違った。

笑っているような、でもどこか不安そうな――仮面の向こうの私。

SNSに写真を投稿する手が震える。指先から伝わる緊張。

「よし……」

指がEnterキーを押す瞬間、心臓が跳ねた。画面の向こうに、無数の視線が集まるのを、ユイは感じた気がした。

返事の通知が次々に鳴る。褒め言葉、リツイート、コメント。

少しだけ、心が軽くなる。

「やっぱり、ここが私の居場所なんだ」

窓の外の都会は変わらない。でもユイの世界は、今日も少しだけ色を変えた――衣装と仮面に守られた、もうひとつの私の世界。

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