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晴れの国で、恋をした  作者: 櫻木サヱ
うちらの、岡山

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8/35

笑顔の理由

翌日の朝、渚はいつもより少し早めに学校に向かって歩いていた。

風が金髪を揺らし、ピンクネイルが光を反射してキラキラと輝く。

「今日も頑張らんと…」

小さくつぶやきながらも、心の奥は軽やかだった。昨日の屋上のことを思い出すだけで、胸がぎゅーっとなる。


教室に入ると、悠真はすでに席に座っていた。

「おはよう」

小さく手を挙げる悠真に、渚も自然と笑顔で応える。

「おはよう…」

その笑顔は、自分でも驚くほど自然で、照れくさいけど心地よかった。


授業中、友達やクラスメイトの何気ない会話の中でも、渚の心は悠真のことを意識している。

でも、その意識は不安ではなく、ほんのり楽しいドキドキに変わっていた。


昼休み、愛理がこっそり声をかける。

「ねぇ渚、顔赤いぞ。やっぱり昨日のことが気になるんじゃろ?」

渚は手で顔を隠しながら、でも心の中でうん、と頷く。

「…うん、でも…うちの気持ち、なんか恥ずかしいけど、嬉しいんよ」


放課後、屋上に向かうと、悠真も先に来ていた。

夕陽が差し込み、風がそよぐ中で二人は向かい合う。

「今日も来たんか」悠真の声には、少し笑いが混ざる。

「うん…なんか、ここ来ると落ち着くんよな」渚も小さく笑う。


その瞬間、渚は自分の胸の中にある気持ちに気づく。

ギャルで派手な自分だけど、悠真の前では純情な自分が顔を出す。

そしてその自分を、誰かに見せてもいいと思えた瞬間だった。


「笑顔って…なんで出るんじゃろな」渚は心の中で考える。

それは恥ずかしいからでも、強がりでもなく、ただ心から嬉しいから。

悠真と過ごす時間が、自然に笑顔を作らせるのだと気づく。


夕焼けに染まる屋上で、二人の距離は少しずつ縮まる。

渚のギャルの顔と純情な心、そして悠真の真面目で優しい笑顔が重なり合う。

「恋って、ほんまに…素敵なもんじゃな」

心の中でつぶやく渚の笑顔は、今日も夕日に輝いていた。


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