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晴れの国で、恋をした  作者: 櫻木サヱ
すれ違う想いと、文化祭の奇跡

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79/83

胸のざわめきと、放課後の予感♡

放課後の空は、夏の名残をほんの少しだけ残していた。

赤く染まる校舎の窓が、どこか切なく光っとる。


美咲は机の上に並べた紙花を見つめながら、深く息を吐いた。

「……もう、ほんまにええ加減にせぇって感じやな」

誰に言うでもなく、ひとりごとみたいに。


「なにが?」

ドアの向こうから顔を出したのは、美月だった。

「また悠真と里奈のこと、考えよったんじゃろ」

「べ、別に……」

「はいはい、またそれ」

美月はため息まじりに笑って、美咲の隣に腰を下ろした。


「なぁ、美咲」

「ん?」

「うち、正直ちょっと見とれたで。あの二人、ええ感じじゃった」

「……見たん?」

「見た見た。悠真が里奈支えて、手つないどった」

「……そっか」

美咲は笑おうとしたけど、

その声は少し震えとった。


「でもな、美咲。うち思うんよ」

「なにが?」

「悠真の“ほんまの笑顔”、あんたとおる時のほうが、柔らかい」

「……うそじゃ」

「ほんま。うちはちゃんと見とるけぇ」


美咲はうつむいた。

美月の言葉が胸の奥をあたためるようで、でも同時に痛くもあった。

「……でも、もう遅いかもしれん」

「遅いかどうかは、あんたが決めることじゃろ」


窓の外では、運動部の掛け声が響く。

夕焼けが、二人の影を長く伸ばしていた。


――そのころ、体育館裏では。


悠真は一人、ベンチに腰かけておった。

スマホを見つめながら、溜め息をつく。


「……あかん、わし、なにしよんじゃろ」

画面には、美咲との過去の写真。

夏祭りの日、屋台の灯りの下で笑っとる彼女の横顔。


(なんで、こんなにも忘れられんのやろ)


そこへ、里奈が飲み物を持って現れる。

「悠真くん、おつかれさま。はい、スポドリ」

「おう、ありがとう」

「…ねぇ、悠真くん」

「ん?」

「このあと、少しだけ話せる?」

「……ええよ」


里奈の瞳は、夕陽に照らされて真剣そのもの。

その表情に、悠真の胸がざわつく。


その瞬間、

校舎の窓から見つめていた美咲と、

里奈の目が――ほんの一瞬、交わった。


風が吹き抜け、ポスターの端がはらりと揺れる。


静かな校庭の片隅で、

三人の想いは、また少しずつずれていった。


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