勇気出して
夕暮れの川沿い、公園の風がやさしく髪を揺らす。
美咲は胸の奥のドキドキを押さえながら、ベンチに座る悠真にゆっくり歩み寄る。
(……よし、わし……今日こそ……ちゃんと気持ち伝えんと……)
手には少し汗がにじみ、心臓がバクバクする。
悠真は川面を見つめ、夕陽に染まる水面をじっと眺めていた。
「……今日の夕陽も、ええのう……」
その声に、美咲は小さくうなずき、少しずつ悠真に近づく。
「悠真くん……あの……」
声は震え、少し赤くなった頬を押さえながら、勇気を振り絞る。
悠真は振り返り、優しく微笑む。
「……どうしたんじゃ、美咲?」
その一言で、美咲の胸はぎゅっと締め付けられる。
「わし……悠真くんのこと、やっぱり……好きじゃ……」
手が少し震えながら、そっと悠真の手に触れる。
悠真は一瞬目を見開くが、すぐに手を握り返す。
「……わしも、美咲のこと、大事に思っとる……」
その誠実な笑顔に、美咲の胸は熱くなり、涙が一瞬浮かぶ。
里奈は少し離れた場所で二人を見守る。
(……美咲も動いたか……悠真くんの気持ちは……どうなるんじゃろ……)
里奈の胸の奥にも甘酸っぱいドキドキと切なさが広がる。
美月は木陰からにやにや観察している。
(……ふふっ……あんたたち、まさに青春劇じゃのう……面白いのう)
美咲は悠真の手を握ったまま、少し顔を上げて目を見つめる。
「……わし、もう少しだけ……悠真くんのそばにおりたいんじゃ……」
悠真は少し照れながらも、そっと美咲の肩に手を回す。
「……ええぞ、美咲。わしも、わしの気持ちはちゃんと伝えとるけぇな」
夕陽の光が二人を包み、川面に映る影が長く伸びる。
川風に揺れる草の香り、遠くで笑う子どもたちの声、夕陽のオレンジ色――
すべてが、二人の心の甘酸っぱさと切なさをさらに濃密にする。
「……この時間、ずっと続けばええのに……」
美咲の小さなつぶやきに、悠真はそっと微笑み返し、二人の距離はさらに近づく。
三角関係の中で、少しずつ動き出す青春の午後――
美咲、里奈、悠真、そしてにやにや観察する美月。
誰の心も揺れながら、甘酸っぱく切ない時間がゆっくりと流れていった。




