こっそり
日曜日の午後、里奈が川沿いで悠真と美咲の二人をそっと見守る中、偶然、美月も同じ場所に来ていた。
「ふふっ……あんたら、面白いことしとるのう……」
美月は木陰に隠れながら、にやにやと笑みを浮かべる。
(……悠真と美咲の距離……里奈の様子……全部丸見えじゃな……これはええ観察日和じゃ)
美月は目を細めて観察する。
美咲がそっと手を悠真に触れる瞬間、里奈が心の奥で複雑な顔をする。
「……ふふっ、美咲、勇気出したな……でも里奈も黙っとらんのう……」
悠真の誠実な笑顔に、里奈の頬が赤く染まる様子も、美月には手に取るように見える。
「……あんたら、ほんま青春しとるのう……でも、これがええんじゃろな……」
美月は木の影から微動だにせず、にやにやと観察を続ける。
川沿いを歩く二人、ベンチで並んで座る二人、笑い合う二人の姿――
すべてが美月には面白く、そして甘酸っぱく見える。
「……ふふふっ……悠真、わしの友達二人をこんなに翻弄しとるんか……おもろいのう」
心の中で、ちゃっかり楽しんでいる自分に気づき、さらににやにやが止まらない。
里奈が一瞬、目を伏せて息を整える。
美月はそれを見て小さく笑う。
(……里奈も頑張っとる……悠真を見つめる目がええのう……)
でも、美月は決して介入せず、ただそっとその瞬間を楽しむだけ。
夕陽が川面に映る長い影を二人に落とすたび、青春の甘酸っぱさが校庭以上に濃密に感じられる。
美月は心の中でつぶやく。
「……さて、あんたたち、どないなるんじゃろ……まだまだ目が離せんのう……ふふふっ」
川沿いを去る悠真と美咲、そして密かに見守る里奈の後ろ姿を見送りながら、美月はにやにやと笑い続けた――
友達の恋を、少し意地悪に、でも愛情たっぷりに観察する休日の午後だった。




