密かな観察
日曜日の昼下がり、里奈は偶然、悠真と美咲が商店街に出かけるところを見かけてしまった。
(……え、二人で……?)
胸の奥がぎゅっと締め付けられ、心臓がドキドキする。
里奈は影に隠れながら、二人の様子をこっそり見守る。
美咲が笑顔で悠真に話しかけるたび、里奈の胸は痛くなる。
(……悠真、やっぱり美咲と楽しそうじゃ……わし、どうしたらええんじゃ……)
二人が雑貨屋に入ると、里奈も店の外から様子をうかがう。
美咲が小さな小物を手に取り、「これ、可愛いな♡♡」と言うたび、悠真は微笑みながらうなずく。
里奈の心の中で、嫉妬と胸キュンが入り混じる。
(……わし……こんな気持ち初めてじゃ……でも、悠真は美咲が好きなんか……)
昼食の時間、二人はホルモンうどんのお店で笑いながら食べている。
里奈は少し離れたベンチから見つめ、ため息をつく。
(……楽しそうじゃな……悠真くん、優しい笑顔しとる……わしも……あの笑顔を守りたい……でも、今は黙っとかんと……)
里奈の心の中は複雑だ。
悠真の誠実さ、美咲との距離の近さ、自分の胸の奥で芽生えた想い――すべてが渦巻く。
午後、二人が公園のベンチで休んでいると、里奈は少し離れた木陰から見守る。
美咲がそっと手を悠真に触れ、「わし……悠真くんのこと、やっぱり好きじゃ……」と告げる瞬間を目撃してしまう。
里奈の胸がぎゅっと締め付けられる。
(……やっぱり……美咲……)
でも、里奈は涙を見せず、深呼吸して気持ちを落ち着ける。
(……わしも悠真くんのこと、好きじゃけど……今は見守るんじゃ……)
夕暮れ、川沿いで二人が腕を絡めて歩く姿を見つけたとき、里奈はそっと目を閉じる。
(……悠真くん、幸せそうじゃな……わしは、ちょっと寂しいけど……でも、わしも応援せんと……)
帰り道、里奈は心の中でそっとつぶやく。
「悠真くん……美咲と一緒にいても、わしのことも忘れんと……」
複雑な胸の内を抱えながら、里奈は自分の気持ちを整理しつつ、少しずつ前に進む決意を固める。
夕陽が川面に反射し、長く伸びた二人の影がゆっくり揺れる。
里奈はその光景を胸に刻み、甘酸っぱく切ない思いを抱えながら家路についた――。




