勇気の一歩
文化祭も終わり、学校は静けさを取り戻しつつあった。
美咲は一人、机に手をつき、深呼吸をして心を落ち着ける。
(……もう逃げん……悠真に、自分の気持ち、伝えるんよ……!)
胸の奥のドキドキと不安を抑え、ゆっくり立ち上がる。
夕陽が教室の窓から差し込み、オレンジ色の光が二人の影を長く伸ばしていた。
美咲は勇気を振り絞り、悠真のいる校庭へと歩み寄る。
心臓が高鳴り、手は少し震える。
「悠真……ちょっと、話せる?」
声は少し震えながらも、真剣さが込められていた。
悠真は振り返り、少し驚いた表情を見せるが、すぐに優しい笑顔を向ける。
「美咲……どうしたん?」
その笑顔に、胸の奥がじんわり温かくなる。
美咲は少し俯きながらも、目を逸らさずに続ける。
「……私、まだ……好きなんよ……でも……諦めようと思っとった……」
言葉は小さくても、想いは真っ直ぐで、悠真の胸に届く。
悠真は少し眉を寄せ、真剣な表情になる。
(……美咲……やっぱり、まだ俺のことを……)
でも彼は焦らず、誠実さを崩さずに答える。
「美咲……その気持ちは嬉しい……でも、今は里奈のことも、ちゃんと見とるけぇ」
美咲の胸はぎゅっと締め付けられる。
それでも、立ち止まらずに前を向く。
「……分かっとる……それでも、私……ちゃんと伝えたかったんよ……」
悠真はしばらく美咲を見つめ、少し笑みを浮かべる。
「ありがとう……美咲。気持ちはしっかり受け取ったで」
その誠実な言葉に、美咲は胸の奥で少し温かさを感じる。
その時、遠くから美月の影が見える。
美月は少し微笑みながら、二人を見守る。
(……あんた、やっと前を向いたな……悠真のことも、美咲のことも……)
夕陽が校庭を染め、二人の影を長く伸ばす中、
美咲は自分の気持ちを伝えた達成感と切なさを胸に、少しずつ前を向くことを実感する。
友情と恋心、切なさと胸キュン――
三角関係の火花はまだ揺れているけれど、
美咲は勇気を出した自分に誇りを感じ、次の一歩を踏み出す準備が整っていた――。




