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晴れの国で、恋をした  作者: 櫻木サヱ
恋の始まり、方言まじり

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32/33

葛藤と諦めの気持ち

放課後の教室は、夕陽に染まってオレンジ色に包まれていた。

美咲は一人、窓際の机に肘をつき、外の景色をぼんやりと眺めていた。

胸の奥にはまだ悠真への想いが残っている。


(……やっぱり……好きなんよ……でも……悠真は里奈のことを本気で想っとるし……美月も私のことを助けてくれとる……)

手を握りしめ、少し震える指先を見つめながら、深く息を吐く。

(……私……もう、諦めた方がええんかもしれん……)


教室の静けさが、心の奥の小さな痛みをさらに響かせる。

胸の奥で、焦りと切なさ、そして少しの後悔が渦巻く。

「……でも……やっぱり……」

小さな呟きが、夕陽に溶けて消えそうになる。


その時、廊下から微かな足音が聞こえた。

「美咲……大丈夫か?」

振り向くと、美月が静かに近づいてきていた。


美月の瞳には、かつて自分が抱えていた切なさと、それでも前を向く決意が宿っていた。

「……美月……」

美咲は微笑むつもりだったが、胸の奥の痛みで少し声が震えた。


美月は優しく肩に手を置き、囁くように言う。

「無理せんでええんよ……私がついとるけぇ、焦らんでええ」

美咲はじんわりと胸の奥が温かくなるのを感じる。

(……美月……ほんまに、ありがとう……)


でも、心の奥にはまだ小さな火が消えずに残っていた。

「……私、まだ悠真のこと……好きなんよ……」

小さく呟く美咲の声は、夕陽に溶けるように切なく響く。


美月は頷き、少し微笑む。

「うん……分かっとる。でも、今は焦らんでええんよ。私たちが支えたらええだけじゃけぇ」

美咲は深く息を吸い、少し肩の力を抜く。


美咲は心の中で自分に言い聞かせる。

(……まだ好きやけど……今は諦めた方がええ……でも……少しでも支えられるなら……頑張ろう……!)

友情と切なさが交錯し、胸の奥で小さな炎がゆっくりと燃え上がる。


その後、美咲と美月は一緒に教室を片付けながら、言葉少なに微笑み合う。

二人の間には言葉以上の信頼と絆が生まれていた。

美月は心の奥で微かに胸の痛みを感じながらも、美咲を支えることに誇りを感じていた。


夕陽が教室の机や椅子をオレンジ色に染め、二人の影を長く伸ばす。

胸の奥の痛みと切なさ、友情と微かな希望が混ざり合い、

美咲の心は少しずつ整理され、強くなっていく。


(……悠真のことは諦める。でも……美月と一緒なら……少しでも近づける気がする……)

小さな決意とともに、美咲は前を向く。

夕陽が沈む中、二人の友情は甘酸っぱく、切なく、胸に温かく残った――。


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