葛藤と諦めの気持ち
放課後の教室は、夕陽に染まってオレンジ色に包まれていた。
美咲は一人、窓際の机に肘をつき、外の景色をぼんやりと眺めていた。
胸の奥にはまだ悠真への想いが残っている。
(……やっぱり……好きなんよ……でも……悠真は里奈のことを本気で想っとるし……美月も私のことを助けてくれとる……)
手を握りしめ、少し震える指先を見つめながら、深く息を吐く。
(……私……もう、諦めた方がええんかもしれん……)
教室の静けさが、心の奥の小さな痛みをさらに響かせる。
胸の奥で、焦りと切なさ、そして少しの後悔が渦巻く。
「……でも……やっぱり……」
小さな呟きが、夕陽に溶けて消えそうになる。
その時、廊下から微かな足音が聞こえた。
「美咲……大丈夫か?」
振り向くと、美月が静かに近づいてきていた。
美月の瞳には、かつて自分が抱えていた切なさと、それでも前を向く決意が宿っていた。
「……美月……」
美咲は微笑むつもりだったが、胸の奥の痛みで少し声が震えた。
美月は優しく肩に手を置き、囁くように言う。
「無理せんでええんよ……私がついとるけぇ、焦らんでええ」
美咲はじんわりと胸の奥が温かくなるのを感じる。
(……美月……ほんまに、ありがとう……)
でも、心の奥にはまだ小さな火が消えずに残っていた。
「……私、まだ悠真のこと……好きなんよ……」
小さく呟く美咲の声は、夕陽に溶けるように切なく響く。
美月は頷き、少し微笑む。
「うん……分かっとる。でも、今は焦らんでええんよ。私たちが支えたらええだけじゃけぇ」
美咲は深く息を吸い、少し肩の力を抜く。
美咲は心の中で自分に言い聞かせる。
(……まだ好きやけど……今は諦めた方がええ……でも……少しでも支えられるなら……頑張ろう……!)
友情と切なさが交錯し、胸の奥で小さな炎がゆっくりと燃え上がる。
その後、美咲と美月は一緒に教室を片付けながら、言葉少なに微笑み合う。
二人の間には言葉以上の信頼と絆が生まれていた。
美月は心の奥で微かに胸の痛みを感じながらも、美咲を支えることに誇りを感じていた。
夕陽が教室の机や椅子をオレンジ色に染め、二人の影を長く伸ばす。
胸の奥の痛みと切なさ、友情と微かな希望が混ざり合い、
美咲の心は少しずつ整理され、強くなっていく。
(……悠真のことは諦める。でも……美月と一緒なら……少しでも近づける気がする……)
小さな決意とともに、美咲は前を向く。
夕陽が沈む中、二人の友情は甘酸っぱく、切なく、胸に温かく残った――。




