初めての哀愁
文化祭の片付けも終わり、教室には夕陽が差し込み、オレンジ色に染まっていた。
美月は悠真に少しずつ近づき、ずっと胸に秘めていた想いを打ち明ける決意をしていた。
「悠真……私、ずっとあんたのこと……好きだったんよ……」
その声は震え、でも真剣さがこもっている。
悠真は少し驚きながらも、真剣な眼差しで美月を見つめる。
「美月……ありがとな。でも……わし、今は里奈のことを本気で想っとる。それに……美咲のことも、少しは気になる」
言葉は優しく、でも断固とした誠実さを帯びていた。
美月の胸が一気に締め付けられ、心臓が跳ね上がる。
(……え……?ほんまに……?)
頬が熱くなり、目には涙が浮かぶ。
「そ、そう……なん……」
声は震え、涙がこぼれそうになる。
悠真はそっと手を差し伸べる。
「無理に気にせんでええよ。美月は悪くない……ほんまに」
その手は慰めであり、誠実な心遣いだった。
美月は少しだけ微笑もうとするが、胸の奥の痛みは消えず、涙が頬を伝う。
「……うん……わかった……ありがと……悠真……」
小さな声で呟き、目を伏せる。
悠真の心も少し痛む。
(……美月は可愛いし、優しい子や……でも……今は里奈と美咲のことが……)
でも誠実に、嘘なく、心を伝えたことに、少し胸の奥が温かくなる。
美月は自分の想いを手放す瞬間、切なさと少しの成長を感じる。
(……あんたを振り向かせられんかったけど……私は、これで前に進める……)
夕陽が教室の窓から差し込み、影が長く伸びる中、
美月の心は切なくも、少しずつ前向きに燃え上がっていた。
悠真の誠実さ、里奈への本命感、美咲への微かな好意――
三角関係の火花はさらに複雑に、甘酸っぱく、切なく揺れ動いていく――。




