甘酸っぱいオレンジ
放課後の教室は、今日も夕陽でオレンジ色に染まっていた。
美咲は机に肘をつき、悠真と里奈のやり取りをこっそり観察する。
(……やっぱり……悠真、里奈に優しい……でも……私も……少しだけ意識されとる……よね……?)
胸の奥が熱くなり、手を握りしめて小さく息をつく。
悠真は里奈の肩に手を置き、自然な距離感でフォローしていた。
里奈は顔を赤くしながらも嬉しそうで、胸がドキドキする。
「……悠真くん、ありがとう……助かる」
その声に悠真は微笑みつつ、ちらりと美咲の方を見た。
(……美咲、焦っとるな……ふふ、かわいい)
美咲は胸がぎゅっと締め付けられる。
(……悠真……あんた……里奈のこと……でも……私も……!)
焦りと嫉妬、切なさ、そして少しの期待が入り混じり、胸の奥が燃え上がる。
勇気を出した美咲は、悠真に少し距離を詰める。
「悠真……ちょっとだけ、話してもいい?」
差し出した手に、悠真が自然に触れる。
しかし美咲は緊張で手を払い除ける。
その瞬間、悠真はやけっぱちで彼女を抱き締め、そっとおでこにキスする。
「……これで少しは安心するやろ?」
美咲は胸の奥が熱くなり、心臓が飛び出しそうになる。
「……私も……悠真……ほんまに好き……!」
悠真の心の中は揺れ動く。
本命は里奈だけど、美咲の焦った顔と胸の炎は無視できない。
(……美咲、かわいい……でも、里奈も……)
里奈は悠真の優しさに胸が高鳴り、体が自然と彼の近くに寄る。
美咲は悠真の抱き締めとおでこキッスで胸が燃え上がり、決意を新たにする。
その時、美月が廊下の向こうからその光景を見つめる。
(……悠真と美咲……やっぱり……焦るわ……)
ライバル心と焦燥が胸を締め付ける。
夕陽が教室の窓から差し込み、三人の影を長く伸ばす中で、
三角関係の火花はさらに甘酸っぱく、切なく、胸キュンで揺れ動く――。




