夕陽の教室、揺れるトライアングル
文化祭の片付けが終わり、教室には静かな空気が漂っていた。
美咲はまだ胸の高鳴りを押さえきれず、悠真の姿を目で追う。
(……今日も……悠真、里奈に優しい……でも……私も、少しは意識されとる……よね……?)
手のひらをぎゅっと握りしめ、心の奥で小さく決意する。
「絶対、あんた振り向かせるんじゃ……!」
悠真は里奈の肩に手を軽く触れ、フォローしながら作業を進める。
里奈は少しずつ悠真を意識し始め、頬が赤くなる。
「……悠真くん、ありがとう……助かる……」
悠真は無邪気な笑顔を浮かべつつ、内心で美咲の反応も確認する。
(……美咲、焦っとるな……ふふ、かわいい)
その瞬間、事故的に里奈がバランスを崩し、悠真がとっさに抱き締める場面が訪れる。
美咲はその光景を目撃し、胸がぎゅうっと締め付けられる。
(……あんた……里奈のこと……!でも……私も……!)
焦りと嫉妬、切なさが胸の奥でぐらぐら揺れる。
しかし、その数日後――
美咲はついに勇気を出して悠真に近づく。
「ねぇ……悠真、ちょっと……話、しよ……?」
小さな声で誘い、手を差し出す。
悠真の手が触れた瞬間、美咲は緊張で払い除ける。
その瞬間、悠真はやけっぱちの勢いで彼女を抱き締め、おでこに優しくキスする。
「……これで少しは安心するやろ?」
美咲は胸の奥が熱くなり、心臓が飛び出しそうになる。
「……わたしも……悠真……ほんまに好き……!」
悠真の心の中は少し揺れていた。
本命は里奈だけど、美咲の焦った顔や、胸の炎に気付かずにはいられない。
(……美咲、かわいいな……でも、里奈も……)
里奈は悠真の優しさに少しずつ心を寄せ、胸が高鳴る。
美咲は悠真の抱き締めとおでこキッスで燃え上がり、決意を新たにする。
美月は廊下の端からその光景を見て、ライバル心をぐっと固める。
夕陽が教室に差し込み、三人の影を長く伸ばす中、
三角関係の火花はますます甘酸っぱく、切なく、胸キュンで揺れ動く――。




