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晴れの国で、恋をした  作者: 櫻木サヱ
恋の始まり、方言まじり

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18/33

3人での放課後作業

放課後の教室は、文化祭の準備で少しざわついていた。

美咲は悠真と並んでポスター作り。

そして美月も控えめに、でも確実に視線を合わせながら隣に座る。


悠真はお気楽に「二人とも、ありがとうな〜!」

その笑顔は、まだ何も気づいていない鈍感王。


美咲は心の中でため息。

(ほんま、気づかんのんじゃな……でも、負けん!)


彩香に教えられた通り、少しずつ距離を縮める作戦を実行。

「ここ、色どう思う?」

美咲はわざと悠真の近くに身を寄せ、肩がちょっと触れる位置でプリントを見せる。


悠真は無意識に「うん、いい感じ!」と答えるだけ。

美咲の胸はドキドキ。

(……なにこのもどかしさ……!)


横で美月も、負けじと自然に距離を詰める。

「この色、私もいいと思うよ」

さりげなく、美咲の注意を引くように話す美月。

微妙な牽制。


(……あいつ、やっぱり手ごわい……)


さらに、悠真がぽつりと他の女子の名前を出す。

「○○ちゃんも今日、文化祭準備手伝うらしい」


美咲の心はドキリ。

「……え、そ、そうなん?」

悠真は何も気にせず、にこにこ笑っているだけ。

(……まったく、鈍感すぎる……)


でも、焦りと悔しさの中で、少しずつ美咲は考える。

「ここは……あたしが本気で勝負するしかないんじゃな」


プリントを並べながら、二人のライバル(美咲と美月)の間で静かに火花が散る。

悠真は相変わらず何も知らない。

でもその無自覚さが、二人の心をさらに燃え上がらせる。


作業が一段落したとき、美咲は小さくため息をつく。

「ふぅ……これで少しは差を縮められたんかね?」


美月もにっこり笑う。

「まぁ、あんたもなかなかやるやん」


悠真は二人のやり取りを見ながら、

「二人とも、ほんま助かるわ〜!」

と相変わらず無邪気。


美咲の胸の奥で、じんわり熱いものが広がる。

(悠真……気づかんけど、あたしの気持ち、ちゃんと届くんじゃろか……)


夕暮れの校舎の窓に映る三人の影。

火花はまだ見えんけど、確実に燃え広がっている――。


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