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火花、見えんとこで
翌日の昼休み。
教室の窓から秋風が入る。
外は穏やかな昼下がりなのに、美咲と美月の間にはピリッとした空気。
美月:「悠真くん、ちょっとプリント見せてくれる?」
美咲:「わたしも!」
二人の距離は自然に近くなる。
悠真はお気楽に「二人ともセンスあるよ〜!」と笑うだけ。
美月は控えめながら牽制の眼差し。
美咲は焦りつつも、少しだけ勇気を出して近くに寄る。
(……負けとうない)
(悠真に、わたしのこと、ちゃんと見てもらいたい)
放課後。
三人での作業中、美月がさりげなく美咲の注意を引く動きをしてくる。
美咲は負けじと対抗心を燃やす。
でも悠真はまったく気づかず、二人の駆け引きには全く無自覚。
その様子を見て、彩香が心の中で応援。
「よっしゃ、美咲、その調子じゃ!恋は駆け引きも大事なんよ」
美咲の胸の奥では、小さな炎が静かに燃え続ける。
三角関係の火花は、悠真が気づかないまま、確実に広がっていく――。




