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静かすぎる、火花
翌日、教室で文化祭のポスター作り。
美咲は悠真と肩を並べて作業。
隣では、もう一人のライバル・美月が静かに見守る。
「昨日、悠真くんと帰ったんだよね?」
美月の声に美咲はドキッとした。
悠真は鈍感に「うん、たまたま一緒だっただけ」
美月はさりげなく悠真の視線を確かめるように近づく。
美咲も負けじと「わたしも手伝うわ」
悠真は何も気づかず「助かる〜!」と笑う。
さらに美月が小声で、他の女子の名前を出す。
「悠真くん、○○ちゃん今日来るらしいね」
美咲は胸がぎゅっとなる。
悠真は何も気づかない。
作業を続けながら、二人の間にピリッとした空気が漂う。
美咲は心の中で小さくつぶやいた。
「……悠真、気づかんのんじゃなぁ……」




