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晴れの国で、恋をした  作者: 櫻木サヱ
恋の始まり、方言まじり

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14/35

静かな、火花

美咲と悠真が少しだけ距離を縮めた、その翌日。

学校はいつもと変わらんはずなのに……美咲の胸の中は、なんか落ち着かん。

だって、昨日――悠真といっしょに帰ったんじゃもん。


(やばい……昨日のこと思い出したらニヤけてまう……)


朝の教室。悠真はいつも通り本を読んどる。

でも、目が合った瞬間……

「……おはよ」

「お、おはよっ!」

ちょっと照れたように声が重なる。


周りの空気が、ちょっとだけ柔らかくなった気がした。

そこへ、スッと静かに現れたのが──美月。


ストレートの黒髪がさらりと揺れる。

制服の襟はきっちりしていて、まるで教科書の“理想の女子”みたい。

「おはよう、悠真くん」

「……おはよう、美月」


(うわ……今日も隣に座る気か……)


美月は自然な顔で悠真の机の横に立ち、何か話し始める。

たぶん、また委員会かテストの話。

でも美咲には、それが耳障りなぐらい、近い距離に見えるんよ。


(なんか……胸がぎゅってなる)


放課後。

昇降口の前で、靴を履き替えているとき、後ろから声がかかった。


「美咲さん、ちょっといい?」


振り向くと、美月。

やわらかい笑顔。けど、その奥にある何かが、ピンと肌に刺さる。


「昨日……悠真くんと帰ったんだよね?」

「……あ、うん。まあ……たまたま」


「そっか。ふふっ」

美月は笑いながらも、目が笑ってなかった。


「悠真くん、ああ見えてモテるんだよ。いろんな子が、気にしてる」

「……ふ〜ん」


「でもね、私、悠真くんとは小学校のころからの知り合いなの。だから、ちょっと特別なの」


(……なに、その“マウント”みたいな言い方……)


「……だからって、わたしが引く理由にはならんけどな」

気づけば、美咲の口からスッとその言葉がこぼれとった。


美月の笑顔が、一瞬だけ止まる。

けどすぐにまたにっこりして、

「……負けないからね」

そう言い残して、颯爽と歩き去った。


(……やっぱり、そう来るよな)


昇降口を出た美咲の胸の奥では、ふわっと小さな炎が灯ってた。

ただドキドキしてただけの恋が、“勝負”の色を帯びていく――。

美咲(心の声)

「負けとうない。

悠真に、わたしのこと、ちゃんと見てほしいけぇ」

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