表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
晴れの国で、恋をした  作者: 櫻木サヱ
恋の始まり、方言まじり

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

12/33

友達の助言

昼休み、渡り廊下に吹き込む風は、秋の匂いが混じってた。

岡山の空は今日も青くて高い。だけど、美咲の心はなんだかモヤモヤ。


「なぁ彩香〜……あんた、恋愛ってどんな感じになったら“本気”になる思う?」


弁当をつつきながら、机に突っ伏す美咲。

あの夕焼けの日から、悠真のことが頭から離れんのんよ。


「なによ、いきなり」

「なんか……最近、アイツのこと見とる時間のが多いんよなぁ〜って。朝とか、放課後とか、ちょっとしたときとか……」


彩香はニヤッと笑った。

「それ、本気じゃろ。気づいてないだけで、完全に好きになっとる顔しとるもん」


「ちがっ……ちがうし!!」

「はいはい、そういう否定の仕方、恋する乙女の定番よなぁ〜♡」


彩香の言葉は冗談っぽいのに、不思議と胸に残った。

“本気”って、なんなんじゃろ。

ただドキドキしとるだけじゃ、足りん気がする。


「けどな、美咲。あんた、悠真としゃべるとき、めっちゃわかりやすいで?」

「え?」

「目ぇ、めちゃくちゃキラッキラしとるもん。あれ、バレとるって」


「……うそじゃろ……」

美咲は思わず顔を覆った。

たしかに最近、わざと肩をぶつけたり、同じ方向に歩いたりしてる。

……完全に好きバレの行動やん。


「けどさ」

彩香が少し真面目な顔になった。

「悠真って、ほんまに真面目な子じゃん? あーいうタイプって、軽いノリとか駆け引きだけじゃ落ちんよ?」


「……うん」


「だからさ、あんたも“ギャル”だけじゃなくて、“本音”見せたらええんじゃね?」

「本音……」


「うん。遊びとか興味本位やのうて、ちゃんと“好き”って顔したら……たぶん、アイツも気づくよ」


美咲はスマホの画面に映る自分を見た。

まつげも髪もネイルも完璧。でも、その奥にある“ほんまの気持ち”は、まだ誰にも見せとらん。


「……ちょっと、怖いな」

「そりゃ怖いよ。恋って、怖いもん」


彩香の言葉は、やけに優しかった。

夕方、教室に戻る途中で、廊下の向こうに悠真の姿を見つける。


「……見えとるんじゃろ、わたしのこと」


彼の背中を見つめながら、美咲の胸の奥で、ちいさな勇気がふくらんだ。

彩香(心の声)

「がんばりんさいよ、美咲……。恋は、ギャルの勝負どころじゃけぇな」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ