夕立
突然降り出した雨
駅の軒先で人々は雲を見上げる
ソーダ水が弾けるように
アスファルトが雨で泡立つ
先月までなら君が
傘を持って迎えにきてくれたのに
こんなささいなことで
君を失ったことに気づくだなんて
今さら考えてもしかたないけど
ふたりの暮らしは
ほんとうの愛だったのか
それともたんなる
恋愛ごっこだったのか
ささやかなぬくもりなら
両手で抱えきれないほどあったはず
たぶんそれだけでは足りなくて
ふたりは言葉も
少なくなっていった
土砂降りの夕立に傘をさして歩き出す人
傘を持っているけど小降りになるのを待つ人
濡れるのもかまわず駆け抜ける人
僕のように呆然と立ち止まる人
人生がなにかを選び続けることなら
誰もなにも間違ってはいない
ただそれぞれの選びをするだけ
君もなにも間違ってはいない
君は君が選んだ道をゆけ
僕は僕が選んだ道をゆく
君は君が選んだ道をゆけ
僕は僕が選んだ道をゆく