学生時代の知り合い現る
次の日。また、女子高生はお店にやってきた。
「おはようございますっ」
俺は、昨日書いた手紙の返事を手渡す。その瞬間に、顔がまるで花が咲いたみたいにパァっと明るくなった。
本当に…なんだか青春の香りがしたような気がした。
「あ、ありがとうございます!」
そんなやりとりをしていると、お店に俺の後輩がやってきた。
「おはー!って誰?」
「あ、すいません。お客さん…」
「いや、コイツは」
客じゃないことを言おうとして、向こうのほうが早く女子高生に絡んでいってしまった。
「えーなになに?カガミンの知り合い?オレはカガミンの親友のシマってもんですー!ヨロシクぅ」
「夜のノリで近づこうとすんな」
シマの首元を掴んで自分の方へ引き寄せる。
「学校いってらっしゃい」
俺が目で合図をすると、高校生も何かを感じ取ってくれたみたいだ。
「ア゛、はい」
女子高生はシマにも頭を下げると、足早に学校へと向かっていった。
「ちょっとちょっと気になるじゃんー」
「ただの常連さん。最近、よく花を見に来てるんだよ」
「絶対にソレだけじゃないってぇ」
感がいいのかなんなのか、後輩が怪しんでいる。
「オーナーが手を出そうとしてるから、見張ってるだけ」
「ふーん」
コイツは手が早いから気をつけないと、高校生とか関係なく喰ってしまいそうだから怖い。
「女子高生が50のオッサンとか好きにならないでしょ」
「ちょっとちょっと、僕もいる時に悪口やめてぇ?」
ちょうど花の買い出しに言っていたオーナーがお店に帰ってきたところみたいだ。
「おぁ、すいませんっ」
オーナーと顔を合わせたシマが、即座に頭を下げた。
「いまどきの子達って容赦ないよね」
オーナーはトホホみたいな顔をして、売り場の奥に消えていく。
「俺も入ってるんですか…」
「カガミンも容赦ない時は、容赦ないッスよね!イテテテ…」
容赦のない後輩の頬をつねり上げる。
「何しに来た?」
「特に用事があったわけではないです。楽しそうなことが始まりそうな予感?がしただけです」
「ふーん?」
俺は、獲物を捕らえるような目をしたシマが、心なしか何か暴走してしまうのではないかと心配になった。