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花便り


(女子高生目線)


「うーん??」

 私は、お兄さんからもらったメモを見ながらうなっていた。

 メモには『ガーベラ』とだけ書かれていた。ガーベラが花の名前なことは分かるけれど…なんなんだろうか?

「花でも見つめてろってこと??」

「おは!美鈴どーしたの?」

 そこへクラスメイトの友達が登校してきたようだ。

「好きな人から手紙もらったんだけど、もはや暗号……」

「どれどれ?」

 友達はわたしからメモをとりあげるとすぐに答えが返ってきた。

「花言葉じゃない?」

「花言葉ってなに?」

 私は、あまり聞き慣れない事を言われてポカンとしてしまった。

「ほら、母の日とかカーネーション贈るのは、花言葉が『感謝』だし、案外『好き』とか『愛してる』って暗号なのかもよぉ?」

 友達がニヤニヤしながら私の方を見る。

「え?!加賀さんが私のこと好き?!」

「加賀さんって誰??」

「それはちょっと…その…」

「なになになにー」

 友達が私の肩をぐいぐいと押してくるので、自分も押し返す。

「メモ返して、返してぇ」

 メモを返してもらいながら、ガーベラの花言葉をスマホで調べる。

「えと……花言葉は、『前向き』?」

 調べてみるも、なんか恋とかそういう系ではなかった。

「ありゃりゃ、告白では全然ないね」

「なんだーガッカリ」

「でも、なんで前向き?最近、なんかにヘコんだりしてたっけ?」

 友達に聞かれて、なんでその言葉をくれたのかを想像してみる。

「うーん…受験生で塾に行ってるって言ったら「頑張れ」って言ってもらえたんだよね」

「ほうほう。つまり、美鈴のことを知ってるからこそ贈られた言葉ってわけね」

 そういう言われ方をされると嬉しいような気もする。

 甘い言葉でも告白の言葉でもなかったけれど、お兄さんから応援されているようで嬉しい。

 手紙の交換をする?って聞かれたけれど、私はこのメモに対して何を返したらいいんだろうか。

 普通に今日あったこととか手紙にしてもいいのかな。

 なんだか、小学生のときにやっていた交換ノートを思い出す。ノートではないけど。

 ノートを切った切れ端とかにメモするのは見た目が微妙だし、帰りがけに可愛い便箋でも買おうかな。

「あ、じゃーね。また、あとで詳しく」

 始業のベルがなると、担任の先生が入ってきたので、友達は自分の席についた。


◇◇◇

 お昼になった。

 朝から疑問だったのか、クラスメイトはすぐにお弁当を持ってくると私のところへやってきた。

「それで、誰を好きになったの?」

「うーん…(話てもいいのかなぁ」

 クラスメイトの目は期待でキラキラとしている。

「だって気になるじゃん。アイドルも好きにならない、俳優も好きじゃない、部活の先輩も好きにならなかった人の好きな人とか」

 そういわれると、そうかもしれない。

「お花屋さん」

「他校でもなくて?」

「うん。学校と駅の間にある花屋のお兄さん」

 友達は、なんでいきなりその人を好きになったのか疑問のような顔をしている。

「きっかけがあったわけじゃないんだけど、気になっちゃって」

「へーそれで話しかけてメモ紙もらったの?」

 私は、小さく頷いた。

「こないだ塾の帰りに家まで1回送ってもらった…」

「え?!脈アリじゃん!」

 友達の反応とは裏腹に、私の気持ちは少し暗かった。

「うーん……でも、こないだ女の人が隣歩いてて」

「彼女いるの?!」

「でも、その人は彼女じゃないからって言ってた」

「ちゃんと聞いたんだ偉いね」

 友達は、私のことを褒めてくれたけど、隣の人が彼女じゃなかっただけで、もしかしたら彼女はいるのかもしれない。

「大人の人だし、コドモだから付き合ってくれなそうなんだけど、手紙のやりとりだけオススメされて」

 いまの私にはお兄さんと繋がっていられるものが、コレしかない。

 それこそ、付き合ってほしいとか好きとか、そういうことを書いても意味はない気がする。

 かといって、何を書いて返したらいいのかが、よくわからない。



 

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