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クリスマスプレゼントは私?!

(女子高生の目線)


 あっと言う間に、クリスマス当日になってしまった。

 結局、プレゼントもなにも用意していない。塾が終わってからイルミネーションを見に行くとかも時間的に無理…だよね。

 トボトボと歩きながら、いつもの花屋さんに到着するも、ミュートさんの姿を見つけることができない。

 また、お届け物の時間なんだろうか?

「あれ?美鈴ちゃん?」

 いつものチャラいオーナーさんと目が合ってしまった。

「こんにちはっあの、加賀さんは…」

「今日は体調不良でお休みなんだ、お店忙しいのになぁ」

「そうなんですね」

 なんとなく、なんとなくなんだけれど、本当に体調不良なんだろうか…。

「美鈴ちゃん家を知ってるなら、見に行ってきてくれないよね?」

「え?」

「倒れでもしてたら困るかなって」

 そんなに重症なんだろうか?クリスマスプレゼントが経口補水液って…どうなんだろう。うーん…。リンゴとか持って行くべきかな。でも、上手く剥ける気がしないしな。洗い物やゴミを出してしまう方が、後々面倒なことになって相手を困らせてしまうかもしれない。

 塾に行くまでに時間はあるから、少し様子を見に行ってこよう。


 ミュートさんのマンションについた。

「恋人なんだし…大丈夫だよね?」

 自分の中の不安を拭いきれないまま、マンションの階段を上り、ピンポンを押した。

 また、留守なのかな?という気持ちになったけど…その扉はあっさり内側から開いてしまった。

 そして、いま私はまた知らない女の人と対面することになった。

「あんた、誰?」

 少し高圧的なお姉さんが私を睨んでいる。…やっぱりクリスマスは本当に大好きな人とすごしたかったのかな?と、後退りしようとした。

「あ、あの………」

 ここへ来たことを後悔しようとしていた時……

「ちょ………ちょっと、待って姉さん……それ、俺の大切な人…だから」

 部屋の奥から体を起こすのも辛そうなミュートさんがでてきてくれた。

 この方は、ミュートさんのお姉さんだったのか。…全然似てないんだなぁ。

 ミュートさんに手を引かれて、部屋に上がって、ミュートさんの部屋にきた。

「ごめんね………体調悪くて」

 仮病などではなく、本当に体調が悪いみたいだった。仮病で会社を休んだのでは?と思った自分を殴ってやりたい。

「熱があるんですか?」

「いや………そういうんじゃないんだ」

 ミュートさんは、立ってるのも辛いのかベッドに横になってしまった。

 汗をかいている風でもないし、咳がでているわけでもない。声がかれていそうにもない。

「…誕生日はいつもこうなんだ」

「………ぇ?(いま、なんて???」

 私は、初めて聞く情報に驚いていた。私は、ただクリスマスを一緒に過ごしたくてマンションまでやってきたのだけれど、今日はミュートさんの誕生日だったのか?!

「なんで言ってくれなかったんですか!」

「だって、クリスマス…楽しみにしてたから…待ち合わせ場所に行けなくても連絡する手段ないし、だから初めから会わなければって…思って…だから、ごめん…」

 私が、怒っているって思っているみたいだけど、そうじゃなくて…なんで教えてくれなかったんだろう。誕生日のこと。

「誕生日なこと、教えてほしかったです」

「……親に捨てられた日なんだよね」

 いろいろ複雑な理由がありそうだ。

「いままで付き合ってきた人もクリスマス前に別れること多くて、クリスマスになると体調崩すようになっちゃったんだよね。女の子にとって大切な日なのに…なんかごめんね…」

 少し涙ぐんでいるのか、ミュートさんの声が曇っている。

「あの!なんでも言ってくださいっ自分の誕生日にはお花もらったのに、ミュートさんの誕生日に何も渡せないのは嫌です」

「なんでも…?」

「はいっなんでもします!」

 手で顔をおおったミュートさんをベッドの脇で静かに見つめていた私に

「女の子がそんなこと言ったらダメだよ」

「誕生日なんですから、私にミュートさんの願いを叶えさせてください」

 私の言葉に、ミュートさんがベッドの奥の方へと移動した。ミュートさんが、自分にかけていた布団を半分めくる。

「じゃ、こっちきて」

「え…」

 ミュートさんは、私に同じベッドに上がってこいって言っている。…ミュートさんの願いって…

「………………寒いんだけど」 

 なかなかベッドに上がらない私に半分だけ出ている体が冷えてきてしまったみたいだ。

「す、すいません」

 自分が言いだした事だし、と思いながらミュートさんのベッドに自分も入った。

 ミュートさんが私に布団をかけてくれる。

「塾に行くまででいいから、そばにいて…………昨日、寝てないんだ…俺」

 そういったミュートさんの左腕が私の腰をグッと引き寄せた。

「(近っ……………!手とかどうしたらいいの?」

 一人ドキドキとしていた私を置いてきぼりにして、ミュートさんの寝息が聞こえてきた。本当に寝てしまったみたいだ。

 初めてミュートさんの家に来た時に、このベッドで起き上がったけど、その時は一人だったからミュートさんがいる、いないがこんなに印象を変えるんだ。とか思う。

…ミュートさんの体は今日も冷たい。

「(ミュートさんにとってクリスマスって楽しい行事じゃなかったのかな…疑ったりして、なんか申し訳なかったな」

 それでも、私に出来ることって何かないのかな。一緒に眠ってあげるだけがプレゼントにしたくはない。

 ちゃんと今日できる何かを考えなくちゃ。



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