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神社デート


 手を繋いで歩き、神社の神様の前で2人で手を合わせる。

「(美鈴が大学に合格できますように」

 俺が目を開けると、すでに美鈴は目を開けた後でこちらをしげしげと見つめながら待っていたようだ。

「何をお願いしたんですか?」

「美鈴と同じ事」

 美鈴は、少し驚いているようだった。

「私の事をお願いしたんですか?!」

「美鈴の願いが叶う確率が2倍になるほうがいいじゃん」

 そもそも受験生のためにきたのに、それ以外を願う気も初めからないんだけど。

「べつに俺だけじゃなくて、家族も塾の先生も友達も皆、美鈴の幸せを願ってるよ」

「そう言われると、この後の塾も頑張れるような気がします」

 御参りのために放した手は、もう一度繋がれることはなかった。

「御守り買う?」

 境内の中にはいろんな物が売られていそうだ。

「あ、はい!」

 勝負に勝つための御守り「勝守」というものが有名らしい。スポーツとかで優勝したいときに買うのかな?キャラクターの御守りもあれば、縁結びも交通安全もある。

「受験の『合格守』あったよ」

 それは、五角形の形をした真っ白い御守りだった。

「じゃー私買ってきますね!」

 俺が買おうか?と言おうと思ったんだけど、受験する本人が買ったほうがご利益があるのではないかと思ってしまったので、買ってあげる。と、言うのはやめておいた。

 でも、俺は同じ物を持って美鈴の後ろに並んだ。

「ミュートさんは、何を買ったんですか?」

「同じやつ」

「なんで?!」

 もしも、今日でお別れなら、思い出が欲しかった俺は同じ御守りを購入した。

「なんか、お揃いの物が欲しくて?」

 でも、よくよく考えたら美鈴が大学に受かったら、御守りを返しに来てしまうから、ずっとお揃いというのは無理なことなのかもしれないって後々気づくことになるんだけど、デートで同じ物を買えた喜びさえあったら俺は満足かなって思った。変な人に思われただろうか…。

「私、いまのところB判定で、大学入れないかもってほとんど諦めかけてて、受験って1人の戦いじゃないですか。だから、心細かったから嬉しいです。御守り見たら勇気でそう」

 どうやら、好印象に思われていてよかった。御守りの横におみくじがあるみたいだ。

「おみくじは引く?」

「そういえば、今年は引いてないかもです」

 六角形の形の木の棒が入ったやつをガシャガシャとする。出てきた番号を伝えると、おみくじの内容が書かれた物を巫女さんから受け取った。

 俺はめずらしく大吉だった。けれど、恋愛の欄を見てみると「遅いが、想い人は後からやってくる」と、書かれていた。なぜか、よくわからないんだが、俺が引くおみくじは、大吉でも吉でも、恋愛のところには必ずコレが書かれている。…遅れてくるってなに?っていつも思う。

「ワッ…ワァ……凶です。学業、勉強にもっと励めって書いてある…」

 むしろ、落第ではないのだから、よいのでは?

「でも、恋愛のところ運命の人に出逢うになってるよ」

「え?凶なのに?!そこは良いの?」

 俺が、運命の相手だとするなら、たしかに凶だな。と、思わなくはない。

 俺は、美鈴のおみくじを取り上げた。

「それじゃ、俺のおみくじと交換してあげる」

 俺のおみくじの中身をみた美鈴がビックリしている。

「え?ミュートさん、大吉!!」

「学業のところ、必ず受かるになったね」

「えーいいんですか?もらっちゃっても」

「いいよ。それで、美鈴の運が上がるなら、結んで帰る?」

 おみくじは、なんとなく結んで帰るイメージなのだが、いつも読み返したいと思うときがあって、大吉じゃなくても持って帰りたいと思ってしまうのは俺だけなんだろうか?

「あ、でも、良いやつは結ばないらしいので、持って帰ります!ミュートさんから貰ったものが増えて嬉しいし」

「そっか。俺も持ってこ」

 普段、正月でも神社に御参りとかめったに来ないし。

 そして、俺達はいつもの渋谷駅に帰ってきた。

「それじゃ、塾がんばって」

「ミュートさんは、今日はこのあと仕事ですか?」

「今日は1日オフ」

 家に帰って何をやろう。

「あの、こないだの誕生日プレゼントありがとうございました!どうして誕生日の日にち知ってたんですか?」

「さーなんでだろうね。ヒミツ…でも、喜んでもらえたなら、よかった」

 お友達さんに聞いたことは黙っておこう。

「捨てちゃうのもったいくて、ドライフラワーにしようと思って壁にかけてます」

 美鈴の部屋には、俺から貰ったものが溢れているらしい。こんな俺のどこがいいのか、よく分からないけれど、御守りも誕生日のブーケも喜んでもらえたのなら本当によかった。

「それじゃーいってきます」

「いってらっしゃい」

 俺は、塾へと向かう美鈴を見送った。

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