お友達さん現る
美鈴の学校の文化祭に花を届けると、次の日から、花屋が学校の生徒で溢れかえってしまった。
「オーナー!花なくなるぞ」
高校生に好かれたところで、お小遣いが少ない学生を相手に、そこまでの利益にはならない。と、思いきやそれが束になってやってくると…こんなにも忙しくなるのか。
「わ、私は赤い花!」
「私は黄色くださいっ」
「はいはい。ちょっと待ってな」
花を1本購入に対する包装が追いついてくれない。
「シマの手でもいいから借りたい…」
こういう時は、少人数で回している店なだけに、人手が足りなくて本当に困る。
テレビで取材されたわけでもないのに、この混みようでは、疲れてしまいそうだ。
最近、人だかりが出来すぎてしまって、美鈴に会えていない。
この人混みの向こう側で、会いに来てくれてはいるんだろうか?とにかく、いまは目の前の事に集中しよう。
「はい。青い花」
オーナーが女子高生に花を差し出すも、微妙な顔をされてしまっている。
「アッチの人からもらいたかったぁ」
「加賀くーん、助けてぇ」(泣
スピーディーなクレーム対応に途中から、花を用意するのをオーナーがし、俺が行列に花を渡していく係りを務める。
おおよそ、アイドルの握手会状態だ。
「はい。どうぞ、またよろしくね」
「きゃー」
と、言う悲鳴にも似た歓声が上がり、ようやく夕方すぎくらいに学生さんの波が終わる。
「今日、歌舞伎町に持って行く花作れないのでわ?」
「それにしても、なんでこんなに学生さん増えちゃったんだろうね」
「あんたが文化祭の花を俺に持って行かせたからだよ…(こうなると思っていたから、美鈴に誘われた文化祭に行かないようにしたのに」
大学生の文化祭なら、俺みたいなビジュアルの男なんてゴロゴロいるだろうけど、高校生の文化祭に俺が行ってしまったら、同級生の男子よりも見た目が際立ってしまうのは事実だ。
「なるほど!加賀くん効果だったのか!美鈴ちゃんに会いたいかなーって思って行ってもらったんだけど」
そりゃ会いたくないわけではないんだが、過度に店が忙しくなるのも嫌だなとは思う。
「あの…」
そこへ新しくお客さんがやってきた。
「あ!また同じ学校の子がきた。いらっしゃい」
オーナーが話しかけると女の子は少し困ったような顔をしている。
「ん?…あ、美鈴のお友達さん?」
「あ!お兄さん!こんにちは!」
それは、こないだの文化祭で美鈴の隣にいた女の子だった。
「お店がすごい混んでて話すことも出来ないって美鈴が言ってて、その今日ここまでなんで来たのかって言うのは、明日は美鈴の誕生日で…もし、よかったらお祝いしてあげれないかなって思って」
「それを言いにわざわざ来たの?」
「はい………お仕事中にすいません」
申し訳なさそうに頭を下げたお友達さんの頭を俺はポンッと撫でた。
「君は、本当に友達想いなんだね」
「え、ぁ…」
「ん?」
固まってしまったお友達さんに、俺が首を傾げると…
「誰にでもそーゆーことしないほうがいいかと」
何故か、現役女子高生から厳重注意を受けてしまった。
「俺の行動は、俺がしたいようにしか出来ないよ」
「そりゃ恋いしたい生徒が減らないわけだよ」
「でも、お店に来るお客さんの中でも美鈴が特別なことは確かだと思うよ。誕生日を教えに来てくれて、ありがとうね」
今度は、頭ポンポンしないかわりに、とびっきりの営業スマイルを返した。
美鈴のお友達さんは、もう一度店の前でぺこりとすると帰っていった。
「明日、誕生日なのか…とはいえ何をしてあげられるだろう」




